2026年2月27日
For Good STORY

恩めぐりから始まる挑戦。千葉の地域創生クラファンがつないだ人と地域の循環とは。

千葉県我孫子市でクリエイティブ・スペースNHUMA(ヌーマ)を主宰されている、C’s CREATIVE代表の大坪祐三子さんにお話を伺いました。
C’s CREATIVEは、手賀沼のほとりにある空き家を活用し、「小さなできるが息吹く場と機会づくり」をコンセプトにしたcreative space NHUMA(ヌーマ)を拠点に構え、活動しています。

暮らしの中に眠る資源や可能性を創意工夫で活かし、誰もが日常の延長線上で参画できる身の丈で生きがいに満ちた経済活動を創造し、誰かの喜びに何かしらの形で貢献できる社会づくりを目指しています。

そうした地域創発事業の開発を、クリエイティブプレナー(創造起業家)として、ブランディングで伴走支援されています。

本プロジェクトは、目標金額700万円を掲げ、46日間にわたって実施されました。多くの方が「恩めぐり」という考え方に共感し、支援者237名から7,380,614円の支援が集まり、目標を超える結果となりました。

暮らしに根差したクラウドファンディングに挑戦された大坪さんに、その実施の背景や成功の要因を伺いました。

プロジェクトはこちら:https://for-good.net/project/1002683

 

地域への「恩めぐり」の想いから生まれたプロジェクト。

プロジェクトを始められた背景についてお聞かせください。

このプロジェクトの根底には、「恩めぐり」という、私自身が大切にしてきた価値観があります。

私のキャリアはジュエリーでのアート活動からスタートし、無くても生命は維持できるけどあると心が豊かになるアートやプロダクトに向きあう人々と、「豊かに生きるとは何か」を考え続けてきました。

組織で働く中で、利益の使途や成長のあり方や考え方に、少しずつ違和感を覚えるようになっていました。

本来利益は、つくりたい未来や社会に共感してくださった方々からの「お預かり金」で、その実現に向けた多様な方々との共創を促し、互いが助けあいながら心豊かに成長していける循環がスパイラルに広がっていくイメージを描いています。

しかし、実際のビジネスの現場では、利益も成長の機会も、ごく限られた範囲の中で行き来するだけに留まっているように感じることが多くありました。

人が気持ちよく与え続けられる仕組みがあれば、そのエネルギーは必ず大きく広がり、めぐって返ってくるはず。
そうした「恩がめぐる経済活動」は、きっと実現できるはず!そう確信する気持ちが、次第に強くなっていきました。

そうした思いから、日常に眠る一人ひとりの「小さなできる」が息吹くことを起点に、地域の方々の「創造する力」が自然とそして美しく、暮らしの中で立ち上がっていく場と機会を増やしていく術を模索しました。

だからこそ、地域に根ざして活動することを選びました。

地域の課題や「やってみたい」という想いに対して、これまで国内外で培ってきたブランディングやデザインのスキルで伴奏し、手仕事や思いやりを大切にしながら、生きがいや喜びにつながる身の丈な経済活動を育てていく今の活動につながっていきました。

今回、クラウドファンディングを実施された背景を教えてください。

起業時は、千葉県の創業支援や日本政策金融公庫の融資を活用し、事業の立ち上げ資金を調達しました。
ただ、この事業には、経済性だけでは測れない価値が多く、数字として可視化しにくい側面が多くあります。

創業時の融資を担当してくださった方々が、事業計画やコンセプトを一緒に丁寧に見てくださる中で、

「これを単なる“儲かる事業”として説明するのは難しいので、補助金や助成金、寄付を集めやすいNPOや社団法人として運営した方がいいのではないか。」

「応援してもらえる事業だと思うので、クラウドファンディングの方が資金調達として相性がいいと思いますよ。」

と、皆さんから同じ言葉をかけていただきました。

私が起業するなら、まず取り組みたかったのは、誰もが「自立」し、主体的に経済活動へ参画することで、善い循環を生み出す仕組みを社会に実装することでした。

そのため、株式会社として営利であり、その営利団体としてソーシャルグッドなクラウドファンディングに挑戦することには、はじめから強いこだわりがありました。

同時に、共感や期待を託していただく以上、自分自身が心から納得できるプロジェクトでなければならない—その想いも、常に胸にありました。

2023年秋に起業してから約2年。
構想と試作、対話を重ね、素材の選定から循環の設計に至るまで丁寧に向き合いながら、「誰もが自らの創造する力を信じ、誰かの喜びに貢献できる存在で在れる」その在り方を、ひとつのプロダクトとして具現化できたのが、この PETALO(ペタロ) です。

千葉県の梨農家さんが廃棄に悩んでいた剪定枝を活用し、誰もが安心して、心地よく「描く」ことを楽しめる
新感覚のスタンプ型画材を開発しました。

障がい者福祉事業所の方々、海外のアーティスト、
地域の学生さんやお母さん、市民活動を通して出会った多くの方々が、開発と制作を支えてくださり出来上がった画材です。

絵を描くことが苦手な方でも、自然と創造する時間を楽しめること。赤ちゃんからお年寄りまで、世代を超えて使えること。

誰もが、いくつになっても、自信を持って、喜びと思いやりに満ちた創造活動を通して社会に関われるーそんな日常を広げていきたいという願いが、形になったプロダクトです。

こうしてようやく、自信を持ってクラウドファンディングへの挑戦に踏み切ることができました。

ビジネスや地方創生の取り組みの多くは、「問題」という目に見える、望まれていない状態を取り除くための「解決」にフォーカスする傾向があります。
金融による資金調達も、課題が明確で解決策がすでに成功事例として存在しているわかりやすい提案であればあるほど、評価されやすい側面があります。

一方で、人の心から豊かになるような本質的な成長は、「何を取り除く」ではなく、「本当に大切にしている何を存在させていくか」という「創造する」営みの中にこそあるものです。しかし、まだ目の前に存在していないものを信じて実行すること、そしてそれを応援することは、決して簡単ではありません。

だからこそ、思いやりや創造性を起点に行動する人たちを全力で応援してくださり、背中をそっと支えてくれるfor Good!のような活発なソーシャルグッドを謳うクラウドファンディングの場の存在は、とても大きな勇気をくれました。

どのような経緯で、For Goodを選ばれましたか。

地域で出会った一人のママさんに、キャリアアップの挑戦としてクラウドファンディングの伴走支援を仕事として依頼し、地域の中で機会を循環させたいという思いがありました。

そのため「自分プラン」があることも、For Goodを選んだ大きな理由です。
支援でいただいたお金は、一円でも多く、地域の経済活動の循環につながるところに着実に届けたいと考えていたからです。

For Good は、運営上に必要なお金を支援者の方々に少しずつご負担いただく形で、可能な限り実行者に還元していくという考え方が明確に示されており、その姿勢に強く共感したのを覚えています。

ひろみさんは、保育園に通うお子さんを育てながら、マーケターとしての経験を活かし、「社会に貢献したい人を支える仕事をしたい!」と、大手企業を退職し、走り始めていた頑張り屋さんでした。
今回、事務局への手数料を抑え、その分をこうした地域で挑戦する機会や支援が行き届かない方へ報酬としてお渡しすることも、私にとって大切な選択でした。

また、For Good は、文章を削ってわかりやすく整えること以上に、想いを丁寧に自分らしく伝えることを何より尊重してくださるプラットフォームだと、事務局の皆さまとのやりとりを通して感じたことも決め手となりました。

*ひろみさん(写真左)=大坪さんの起業当初から、いろいろな形で関わってくれている、地域のママさんで、大切な仲間のおひとり。大坪さんの初となるクラウドファンディングの挑戦を、裏方の事務局として全力で支えていらっしゃいました。

熱い思いと丁寧な発信がカギに。クラファン大成功の秘訣とは。

実際に、プロジェクトを実施してみて、いかがでしたか。

クラウドファンディングを通じて、「講演会をしませんか」「体験会を一緒にやりましょう」「イベントで紹介したい」など、支援金にとどまらない多様なご支援のお声かけを行く先々からいただきました。

予想を遥かに超える「恩」が、社会から巡ってきました。

想定以上のありがたい反響にマンパワーが追いつかず、対応が遅れてしまうこともあり、反省をしました。まさにうれしい悲鳴です。

寄付にとどまらず、企業とのつながりや県外からのご縁など、大きく広がる “関係の環”を実感しました。

50万や100万などの大口の法人プランも支援が入っていましたが、どのような方が支援してくださったのでしょうか。

起業をしてからコツコツと築いてきた関係性の中で生まれた支援です。

企業のあり方や、恩めぐりという社会循環の考え方に共感してくださり、「このタイミングで、仕事として御社にブランディングを依頼する形で応援したい」とご支援くださいました。

支援者200人以上、支援金700万円以上という結果につながった成功要因を教えてください。

大きな要因は二つあると思います。

一つ目は、creative space NHUMA(ヌーマ) という、価値観に共感する人が集い、対話と共創を重ねてきた「場」の存在です。
日々の交流の中で、つくりたい社会や大切にしたい価値観を伝え合い、一緒に描き続けてきたことが、土台になっています。

プロジェクト期間中の46日間は、朝昼晩、1日3回の投稿を続けました。
支援が伸び悩み、心が折れそうになる中盤の時期も、「信じて伝え続ければ届く」という言葉を信じて、不安の中でもひたすらに思いを届け続けました。

もう一つは、リターン設計です。

多様な方が「自分はこの形で応援する!」と選べるようなバリエーションを意識しました。
リターンからも弊社の事業を感じて体験いただけるよう、実際に取り組んでいるセミナーやリトリート、場づくり、地域の方と開発したプロダクトなどを用意しました。

金額帯も3,900円から100万円まで幅を持たせ、寄付で応援したい人、何かしらの形でプロジェクトを体感したい人、経営者仲間としてしっかりと支えたい人まで、それぞれの方が納得してご支援いただける設計にしたのはとても重要でした。

途中で様子を見ながら、柔軟にそしてクイックにリターンを追加することも行いました。

応援の声を見ながらひろみさんのアイデアで途中追加した体験会のリターンは人気で、会期中に完売となりました。

期間中は本当に必死なので、追加リターンの承認作業にFor Goodの皆さまが同じ温度感で迅速にご対応くださったのもものすごく心強かったです。

地域に “誰もが価値を創造できる”めぐりを。

今後の展望についてお聞かせください。

このプロジェクトを通じて実現したいのは、“誰もが生きがいに満ちた価値の創造者で在れる社会”の循環を広げていくことです。

今回のクラウドファンディングでは、PETALO がまだ完成途上であるにもかかわらず、思いやビジョン、可能性に共感して支えてくださった方々に、心からお礼申し上げます。
まだ仕上がっていない部分も含め、共感して応援くださる方々と一緒に事業を育てていきたいと思います。

こうした創造する営みが日常からはじまり、そして広がることで、誰もがいつでも、幾つになっても、地域経済を支える一員なのだと、前向きな実感と生きがいに満ちた暮らしに溢れる社会を目指して歩みを進めていきます。

このめぐりを深めていき、地域と地域をつなぐ活動へと広げていけたらとても幸せです。

これからクラファンを始めたい方への一言メッセージをお願いします。

可能ならば全ての人に、ソーシャルグッドな目的で、「主催者」として挑戦する体験をしてみて欲しい!と自ら経験して思いました。

50歳近い私だからこの規模で実施しましたが、小学生がクラスの皆で1万円を集める挑戦でもいい。
未完成でも、筋が通っていて、その人にとって大切にしたいことであれば、手を挙げてチャレンジし、是非味わってみてほしいです。

志や社会への想いを言葉にし、共感を集める経験は、その人の社会の見え方を大きく変えます。

クラウドファンディングで集めた支援金は、多くの期待と想いが詰まった「お預かり金」です。
だからこそ、その使い道や、一部「税」として社会に還るお金の行方にも、より一層、強い責任を感じるようになりました。

ただ、勢いだけで始めることはおすすめしません。

どこに触れられても「社会に必要だ」と納得いただける、自分の考えやロジック、そして日々の活動で積み重ねてきた信頼と関係性が、挑戦を支えてくれる原点となるからです。

自分が手を挙げて、そして動くことで、誰かの笑顔につながると信じられる活動を見出したなら、年齢に関係なく、ぜひ挑戦してほしいです。

社会はきっと応援してくれます。

ー大坪さん、ありがとうございました!

プロジェクトはこちら:https://for-good.net/project/1002683

編集後記
今回は、「誰もが価値の創造者であれる社会」を目指し、地域に根差した循環型の取り組みとしてクラウドファンディングに挑戦された大坪さんにお話を伺いました。
インタビューを通して印象に残っているのは、「恩めぐり」という言葉です。日々地域や様々な方々にギブし続けてきたからこそ、今回のクラウドファンディングでは支援金以上の“ご縁”が返ってきたのだと感じました。
また、46日間、朝昼晩と発信を続けた姿勢や、支援者一人ひとりが納得して選べるリターン設計など、想いだけでなく、行動し続ける姿が印象的でした。
クラウドファンディングは資金調達の手段であると同時に、社会との関係性を可視化するものでもあるのだと、改めて教えていただいた時間でした。
For Goodとして、この挑戦をご一緒できたことを心から嬉しく思います。
これからも地域に循環を生み出し続けるお二人の活動を、心より応援しています。

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