2026年2月27日
For Good STORY

SNS凍結もチャンスに!箸メーカーが挑んだ、短編映画制作クラウドファンディング。

今回は、株式会社ヤマチク代表取締役CEOを務めている山崎彰悟さん、広報の酒見夕貴さんに、話を伺いました。

株式会社ヤマチクは熊本県南関町で、60年以上竹のお箸だけを作り続けている純国産竹箸メーカーです。【すべての「あたりまえ」を、「ありがとう」に】をビジョンに、世界中にお箸を届けています。

プロジェクトでは、「いただきます」という短編映画の製作費用を募るため、クラウドファンディングが立ち上げられました。

本プロジェクトは、目標金額200万円を掲げ、60日間にわたり、実施されました。多くの方々が活動に共感し、313名からの支援金5,988,000円が集まり、目標を大幅に上回る結果となりました。

映画制作クラウドファンディングを大成功に導かれた山崎さんと酒見さんに、クラウドファンディングの感想や、成功の裏側についてお話を伺いました。

プロジェクトはこちら:https://for-good.net/project/1002000

「いただきます」を国内外へ届ける。映画制作の裏側とは。

今回、「いただきます」という映画の制作費用を募るためのプロジェクトを実施されましたが、プロジェクトの背景を教えてください。

山崎:
制作するに至った背景には、いくつか理由があります。

今回短編映画のテーマにしたのは「いただきます」という言葉です。日本の食文化に根付いたこの精神的な価値を、グローバルスタンダードとして発信していきたいという想いがありました。

きっかけは、2024年にシンガポールで行った英語のプレゼンです。同じアジア圏にも関わらず、「いただきます」の意味があまり伝わらず、言葉の壁と文化の違いを痛感しました。

日本では感謝の気持ちを表す言葉として馴染み深い「いただきます」ですが、感謝の範囲が非常に広いため、翻訳することが難しい言葉です。

最近では、日本国内においても、「いただきますを言わなくてもいい」という風潮もあり、この文化が失われつつあることに危機感を抱いております。もしこのまま薄れていけば、私たちが大切にしている竹のお箸づくりも、将来的に、意味を失ってしまうかもしれません。

こうした国内外の経験から、「いただきます」を単なる言葉ではなく、感謝の文化として世界中の人に伝えるために、映画という形を選びました。

今回、なぜ、クラウドファンディング実施に至ったのでしょうか。

山崎:
「いただきます」という短編映画製作の資金を集めるために、クラウドファンディングを実施しました。

映画は収益化が難しく、本業である竹のお箸づくりの利益にもつながりません。
そこで、多くの方々に自分たちの想いを伝えながら資金を集める方法として、クラウドファンディングで資金調達しました。

自社サイトで寄付を募ることもできますが、クラウドファンディングなら、支援の広がりを支援者数や支援金額といった客観的な数字として視覚化することができます。想いへの共感を可視化ができる点も、大きな魅力でした。

想いの共感から始まる、「いただきます」の輪の広がり。

実際に、プロジェクトを実施してみて、いかがでしたか。

山崎
正直、どこまで共感が得られるかは分からないまま始めましたが、想像以上に、皆さんから応援していただき、とてもありがたかったです。

支援者さんのなかには、カナダ在住の日本人の方もいました。
クラファンでのつながりを機に、現地の日本人学校と「いただきます」を広げていく活動も始まりました。これはクラファンだからこそ生まれた広がりだと思います。

また、リターンなしの「とにかく応援プラン」を選んでくださった方が多かったのも印象的です。

今回は映像という無形資産だったので、そこまで、リターン品を用意しませんでしたが、たくさんの人たちに共感していただき、想いを受け取ってもらえたことが嬉しかったです。

ピンチをチャンスに。SNS凍結後に取った拡散のための行動とは?

プロジェクトを拡散するうえで、何を意識されましたか。

酒見:
SNSでの定期的な発信を心がけ、リターン追加時などには必ずお知らせしました。For GoodのグループLINEやサイトからも新規の支援があり、継続的な発信の大切さを実感しました。

途中で山崎のFacebookアカウントが凍結してしまい、大きな痛手でしたが、「助けてください」と素直に発信したことが、逆に応援のきっかけになったと思います。

山崎:
ページ作成では、まず200万円という達成しやすい目標を設定し、短期間で上位表示されることを狙いました。
初動3〜4日で目標達成し、その後の中だるみしやすい期間はリアルイベントや個別の声かけで盛り上げました。

SNSが使えなくなってからは、「1回で300人に届ける方法」ではなく「1対1を300回」と考えて、トークイベントを重ねたり、直接会った方に支援をお願いしました。やはり、顔を合わせて伝えることが、支援につながると感じています。

SNSが使えなくなるという逆境を前向きに捉え、直接拡散していくことに切り替えられた判断力に驚きました。

酒見:
そうですね。トークイベント以外にも、クラファン公開にあわせて記者発表も行い、主演俳優や監督も参加してもらいました。テレビや新聞、Yahooニュースなどメディア露出を通じて、情報を拡散できたことは大きかったと思います。

山崎:
最終的に多くの方々からご支援いただけましたが、SNSの発信にとどまらず、直接想いを届けることで支援につながったと感じています。

今後の展望についてもお聞かせください。

山崎:
映画はYouTubeで公開中で、再生数は12万回を超えています。今後は英語・スペイン語・中国語・韓国語の字幕を加え、世界中に「いただきます」の文化を届けていく予定です。

国際映画祭への応募や国内上映会の継続に加え、映画のテーマである「親子のつながり」に合わせ、新生活を始める若者へ“仕送り”として箸や食品を届ける商品展開も計画中です。

映画とともに、温かい想いが届く仕組みを広げていきたいと考えています。

これからクラファンを始めたい方への一言メッセージをお願いします。

酒見
クラウドファンディングには勇気がいりますが、その勇気をエネルギーに変えて挑戦する人が増えたらいいなと思います。

山崎
クラウドファンディングの大原則は、「支援してください」という姿勢です。ただ、卑屈になる必要はありません。

挑戦するなら堂々としてほしい。大義と熱量があれば対面でもお願いできます。

社会のためだという自負があるなら、堂々と支援を呼びかける勇気が大事だと思います。

山崎さん、酒見さん、ありがとうございました!

プロジェクトはこちら
https://for-good.net/project/1002000

編集後記

今回は、「いただきます」という日本の食文化を映画という形で世界へ届けるために、クラウドファンディングに挑戦された山崎さん・酒見さんにお話をお伺いしました。
インタビューを通して印象的だったのは、「1対1を300回」という言葉に象徴されるように、一人ひとりと真正面から向き合い続けてきた姿勢です。支援を集めること自体が目的ではなく、仲間を増やしていくプロセスそのものを大切にされていることが伝わってきました。
For Goodとして、この挑戦にご一緒できたことをとても嬉しく思います。
映画を通して、「いただきます」の輪が国内外へさらに広がっていくことを、心より応援しています。

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