2026年2月27日
For Good STORY

クラファン1190万円達成の鍵は「おなかま(同釜)集め」だった。鹿児島の小学校創設クラファンのリアル。

私立新留小学校設立準備財団共同代表の古川理沙さんへのインタビューを実施しました。2000年から2019年まで日本語教師として日中韓の大学、高専、民間学校などでカリキュラムマネジメント、教科書執筆に携わってこられました。2017年「ひより保育園」、2018年に「そらのまちほいくえん」を開園。現在は鹿児島県姶良市にて私立の小学校を設立準備中です。

今回のプロジェクトは、鹿児島県姶良市の廃校を舞台に、2026年4月の開校を目指して「ふつうの小学校」を地域とともにつくるプロジェクトです。地域のハブとして、小学校を再編するモデルを実装し、その知見を全国へ波及させることを目指しています。現代版「竈金(かまどきん)」という考え方で仲間を募り、学校と地域の当たり前を問う挑戦です。

本プロジェクトは、目標金額1000万円を掲げ、60日間にわたり、実施されました。多くの人々が「おなかま(同釜)」になり、支援者545名から1190万円以上の支援金が集まり、目標を大幅に超える結果となりました。

地域に根ざした新たな小学校の開校のためのクラウドファンディングに挑戦された古川さんに、クラウドファンディング実施の経緯、実際やってみた感想をお伺いしました。

プロジェクトはこちら:https://for-good.net/project/1000536

新小学校設立クラウドファンディング実施の背景

小学校設立プロジェクトに至った背景をお聞かせください。

これまで20年ほど、国内外で教育に携わってきました。

韓国や中国、日本で高等教育を中心に関わってきた中で、高等教育の土台となる基礎教育の重要性を強く感じるようになりました。

AIの進化や社会の変化を見ていると、これまでと同じ生き方では、これからの時代を幸せに生きるのは難しくなるかもしれない。

そう思ったときに、人間性の土台が育まれる幼少期から教育をつくっていきたいと考え、保育園の立ち上げを経て、小学校設立に挑戦することにしました。

クラウドファンディングを始めたきっかけは何でしょうか。

小学校を新設するには、約5.5億円という多額の資金が必要です。

しかし、日本では小学校新設に使える補助金がほとんどなく、校舎などは借入ではなく自己資金や寄付で保有しなければいけないというのが現状です。

そのため、資金は自分たちで集めるしかない状況でした。

クラウドファンディングは、その5.5億円に向けた最初の一歩として、まずは身近な人たちにプロジェクトを知ってもらい、仲間を増やすための手段として選びました。

おなかま(同釜)集めが大成功の鍵

クラウドファンディングで、1000万円の目標金額を達成するために、どのような工夫をされましたか。

この小学校設立費用5.5億円のうちの最初の1000万円なので、「ここを集められないと、その先の5.5億円はもっと難しいよな」という気持ちをずっと抱いていました。

正直、途中で1000万円に届くのか不安な時期もありましたね。

ただ、ここで踏ん張れないと、先には進めないと思い、自分たちを鼓舞し、ライブ配信やイベント、SNSでの発信などを重ね、最後は多くの方々が一斉にシェアしてくださったことで、支援の流れが一気に広がりました

支援者一人ひとりが「自分ごと」として関わってくれたことが、達成につながったと思います。

今回のクラウドファンディングでは、「おなかま(同釜)コース」がとても印象的でした。このコースについて、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

「おなかま(同釜)コース」という考え方自体は、徳島県神山町での学校設立の事例からヒントを得ています。

そこでは、学校設立前に、「先輩募集」という形で、支援者との関係性が構築されており、この関係性を先につくる姿勢に共感しました。

私たちのプロジェクトでも、単なる支援者ではなく、一緒に知恵を絞りながら学校づくりに関わってくれる仲間を募りたいと思い、「おなかま(同釜)コース」をつくりました。

この「おなかま(同釜)」という名前は、「同じ釜の飯を食う仲間」であり、「姶良カルデラ(釜)で学校をつくる仲間」という意味から来ています。

「おなかま(同釜)コース」のリターンについて詳しく教えてください。

「おなかま(同釜)コース」の支援者さんには、新留小学校設立準備財団の名刺を100枚、お渡ししました。名刺は、周りの人にプロジェクトのことを話すきっかけにしてもらうためのものです。

名刺の肩書には、「CxO(Chief xxxx Officer / 最高◯◯責任者)」と刻印してあります。

「名刺を100枚配ってください」とか、そういう義務があるわけではないんですけど、他の方に、「これ、何の名刺?」と聞かれたときに、新留小学校の話をしてもらえたらいいな、というイメージで、お渡ししました。

「おなかま(同釜)コース」への反響はいかがでしたか。

想像以上に反響がありました。イベントで名刺を持って挨拶に来てくださる方や、「おなかまから話を聞いた」と声をかけてくださる方もいました。

「おなかま(同釜)」の方々が、自分たちの代わりに広報をしてくれている感覚ですね。

なかには、期間中に、名刺がなくなり、再寄付してくださった方もいました。本当にありがたかったです。

「おなかま(同釜)コース」を通じて、このプロジェクトを“自分ごと”として広めてくれる仲間が増えました。
仲間を一から探すことは難しいので、とても意義があることだと思います。

仲間たちと共に地域に根ざした教育の広がり

 どのような支援者が多かったのでしょうか。

知り合いの支援が多かった一方で、まったく面識のない方が参加してくださったのも印象的でした。

教育を良くしたいという想いを持つ人たちが可視化され、自然につながっていった感覚があります。

支援者さんが自らプロジェクトを広め、次の支援者につなげてくれました。クラウドファンディングを通じて、仲間との関係構築ができたと思います。

今後の展望について教えてください。

現在、小学校設立に向けて、具体的な準備が進んでいます。鹿児島県の審議会への申請準備を進めており、必要な資金が集まれば校舎の建設に入る段階です。設計はすでにほぼ完成しています。

ただ、資金面ではまだ課題も多く、今後もしっかりと取り組んでいく必要があるフェーズです。

一方、「新留小学校」をつくること自体がゴールではありません。これからの時代に必要な「ふつうの学校」のエッセンスを広めていきたいと思っています。ここでのふつうとは、広く普くという意味です。どの町にも必要な学校を創っていきたいです。

実際に、今年は秋田県五城目町で、公立の小中学校の先生向けに1年間の研修を担当しました。今後も、様々な手段を用いて、自分たちの活動を広げていく予定です。

これからクラファンを始めたい実行者へ一言メッセージをお願いします。

クラウドファンディングは、始める前はワクワクしますが、途中で思うように支援が集まらず、心が折れそうになる時期が必ずあります。

ただ、その過程で仲間が増えていき、伝え方やプランを磨いていく経験は、その先に実現したいプロジェクトを成功させるための大切な原動力になります。

途中で伸び悩む時期に、あまり孤独を感じすぎずに、 どんどん良くしていく時間なんだと捉えてほしいなと思います。

クラウドファンディングは、目標達成がゴールではありますが、その先の「本当にやりたいこと」を実現させるための良いトレーニングの場です。

私たちも、まだ道の途中ですが、一緒に頑張っていけたらいいなと思っています。

ー古川さん、ありがとうございました!

プロジェクトはこちら:https://for-good.net/project/1000536

編集後記
今回は、小学校設立という大きな挑戦をされている古川さんにお話をお伺いしました。
子どもたち一人ひとりの未来に真剣に向き合われている姿勢がとても伝わってくるインタビューでした。また、クラウドファンディングを通して「おなかま(同釜)」という仲間を集めながら学校づくりを進めている点にユニークさを感じました。
今回、For Goodとしてこの挑戦にご一緒できたことを、とても嬉しく思います。
「ふつうの小学校」の実現と、そこから広がる新しい教育のかたちを、心より応援しています。

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