2025年12月06日 23:59:59まで
ラオスの子どもたち
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2025/11/26 20:00
10歳脳性麻痺の子の生まれ変わり
11月21日の活動報告の中でお届けした愛子さまとの会話の中で、サラセミアで脳性麻痺の子のことをお伝えしました。
「生まれ変わりを信じている民族であるご家族から、病院が支援・サポートしていなければこの子は既にこの障がいがある人生ではない新しい人生を始めていたはずだと、受診拒否をされた経験があり、とてもショックを受けたこと・・」
と紹介した患者さんです。今日は、その患者さん、Tちゃんのことを書きたいと思います。
Tちゃんは、10歳の男の子。重度の脳性麻痺とサラセミア+栄養失調で2021年からラオ・フレンズ小児病院(LFHC)で関わっています。両親と3人暮らしですが、ご両親には定職がなく安定した収入もありません。住む家は親戚の土地に小さな小屋を作って住まわせてもらっていますが、いつ引っ越さなければならないかもわかりません。
最初に入院した時にこの家庭の状況を把握し、退院後は訪問看護で継続的に関わることにしました。Tちゃんは重度の障害がありますが、話しかけると笑顔を見せたり、うなずいたり、手を延ばしたりする反応があり、十分私たちの会話を理解していることが分かります。私たちが行くといつもお土産を持っていきますが、とても嬉しそうに反応してくれるので、こちらも張り切ってお土産を考えたくなりますし、このピュアなTちゃんに少しでも楽しい時間が持てるように何ができるかとチームで話し合っていました。
しかし、まったく収入がない状況で、毎日3食食べられることはほとんどなく、あったとしてもお米だけのこともあります。更に、Tちゃんは、嚥下がうまくできないこともあり、食物摂取の絶対量が少なくなり栄養の状態はなかなか改善されません。サラセミアに関しては定期的に病院で診察をして管理をする必要があるのですが、病院へ来るための交通手段も交通費もなく、いつも訪問看護へ行った時に病院へ連れてくることを繰り返していました。
何度もTちゃんの訪問を重ねていくうちに病院へ行かないのは、単にお金が無いという理由だけではないことを少しずつ感じるようになってきました。
そんなある日、いつものように訪問すると、お父さんもお母さんも病院へ行くことを強く拒否してきたのです。そして、説得する私たちにお父さんは「病院へ行っても治らないのなら行く必要はない。」「もし、あなた(病院)が(Tちゃんを)助けなければ、この子はもっと早くこの命を終えて新しい命をスタートしているはず。」と言ったのでした。
Tちゃん家族にとって、【治る】とは、脳性麻痺でなくなること、サラセミアでなくなるということでした。医療を提供する私たちは、『それは無理だけど、少しでも質の高い生活ができる時間を持たせてあげたい』と関わってきたのですが、結果的に家族もTちゃんも苦しめることになっていたのか??…と大きなショックを受けました。
治らない病気を抱えている親の責任として、(子どもが亡くなることは)新しい生まれ変わりをさせて新しく人生をスタートさせてあげるということ。それを願うことはTちゃんのご家族が属する民族では、特別なことではありませんでした。
私が外国人として他国で働くときには、異文化理解とその尊重は一番重要なこととこれまでも実感してきました。外国人の【押しつけ】をしないようにとても気を付けています。ですから、今回のTちゃんのお父さんの言葉もとてもショックでしたが重く受け止めています。…がしかし、ではTちゃんへのケアの手を黙って止められるかというと、そこは、すぐに引き下がってはいけないところだろうと考えています。
文化というのは少しずつ変化するものと考えます。
伝統的な文化と、私たちの新しい文化や考えが少しずつ歩み寄って、新たなベストなものを作り出すことも可能なのではないかと考えています。時間はかかるでしょう。でも、手を止めてしまえば何も生まれません。未だどこが着地点なのかが見えず、スタッフと共に、頭を悩ませる日々が続きます。しかし、諦めずに、押し付けずに、できることを試行錯誤していくことで、必ず何かが見えてくるはずだと思います。スタッフと共にNever give upで頑張ります。
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