こども・若者の未来
児童養護施設卒園生へ、再出発の切符をーカンボジア・スタディツアー奨学金を創りたい
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2026/1/20 10:30
🇰🇭オンライン報告会を開催しました
このたびは、クラウドファンディングを通じて
ご支援いただき、誠にありがとうございました。
皆さまのご支援により、
児童養護施設の卒園生である ひろみさん(23歳) と共に、
カンボジアでのスタディツアーを無事に実施することができました。
2026年1月19日には、
本ツアーの実施報告と、今後につなげていくための対話の場として
オンライン報告会を開催しました。
本活動報告では、
特に報告会後半で行われた 質疑応答・ディスカッションの内容 を中心に、
この取り組みの意義と、今後の見通しについてご報告します。
1.オンライン報告会の流れと概要
実施日:2026年1月19日
形式:オンライン開催
本オンライン報告会は、
前半に主催者である私からの活動実施報告、
後半に参加者による質疑応答・ディスカッション
という流れで行いました。
後半の対話の時間では、
立場の異なる参加者それぞれの視点から、
社会的養護や卒園後の支援について率直な意見が交わされました。
主な参加者
- ひろみさん(23歳・児童養護施設 卒園生)
- Kさん(男性・保育士/支援者として参加)
- 早川さん(児童養護施設 理事)
※当日はプライバシーに配慮し、顔出しをされない参加者もいらっしゃいました
なお、当日参加が難しかった方には、
「オンライン報告会リターン」を選択された支援者の皆さまへ
後日アーカイブ配信をお送りしています。
2.なぜ「卒園後の孤立」は起きるのか
― 制度と気持ち、両方の問題 ―
質疑応答の中で、最初に投げかけられたのは
「児童養護施設を出た後、なぜ若者は孤立しやすいのか」という問いでした。
制度上、児童養護施設での支援は
原則として 18歳で措置解除となります。
その後は、制度的な支援が一気に弱くなる現実があります。
一方で、卒園生であるひろみさん(23歳)からは、
制度だけでは説明できない“気持ちの側面”が語られました。
「施設の職員さんは、今いる子どもたちで忙しい。
卒園した自分が頼っていいのか、分からなくなってしまう。」
「“自分でしっかりやらなきゃ”って思ってしまう。」
支援が終わると同時に、
「頼っていい関係性」も終わったように感じてしまう。
その距離感の分からなさが、孤立につながっていく現実が共有されました。
※ふな補足(元施設職員・社会福祉士として)
制度が終わることと、人とのつながりが切れることは本来別のはずですが、
現実にはこの2つが重なってしまうことが多く、
それが卒園後の孤立を深める要因の一つになっています。
3.社会的養護は、なぜ「触れにくい」のか
― 外側からの専門職の視点 ―
支援者として報告会に参加してくださった
Kさん(男性・保育士)からは、
社会的養護の「外側」にいる立場ならではの率直な声がありました。
「“社会的養護”“児童養護施設”という言葉自体に、
触れてはいけないような空気を感じる。」
同じく子どもに関わる専門職であっても、
社会的養護は日常生活から見えにくく、
「知らない」「分からない」「どう関わればいいか分からない」
という距離が生まれやすい分野であることが語られました。
※ふな(元職員・社会福祉士)補足
社会的養護は、悪意がなくても
「遠慮」「沈黙」「誤解」が積み重なりやすい構造を持っています。
だからこそ、外側の人が関われる入口を意図的につくることが重要です。
4.施設を「開く」ことで変わるもの
― 児童養護施設「子供の家」理事 早川さんの実践 ―
当日参加してくださった早川さんは、
東京都清瀬市にある児童養護施設 「子供の家」 にて
約10年間施設長 を務め、
現在は 法人本部の理事として施設運営全体に関わっています。
早川さんは、業界の慣習について次のように語りました。
「目立たないように運営することが、
結果的に偏見やスティグマを強めてしまうことがある。」
施設を地域に開いていく中で、
「高校生が施設に入る前、誰も見ていないか確認してから門をくぐっていた」
というエピソードが紹介されました。
「子どもに、そんな思いをさせてはいけない。」
施設を「開く」ことは、
社会の理解を広げるだけでなく、
子ども自身が“恥じなくていい”と感じられる環境づくりにつながる、
という視点が共有されました。
5.「支援される側」に固定されない体験
― スタディツアーの価値 ―
早川さんは、今回のスタディツアーについて次のように語りました。
「支援される側に固定されるのはよくない。」
「誰かの役に立つ、支える側になれる体験は、
人生の見え方を変える。」
海外・異文化に触れる体験は、
単なる観光ではなく、
「自分の人生は、ここで終わりじゃない」
と感じるきっかけになります。
6.ひろみさん(23歳)が感じた変化
ひろみさんは、今回のツアーについてこう振り返りました。
「22歳で海外に行けるとは思っていなかった。
夢みたいな話だと思った。」
「実際に行ってみたら、想像より発展していて、
人も優しく、過ごしやすい国だった。」
そして、クラウドファンディングを通じて、
次のような気づきを語ってくれました。
「支援してくれる大人は、施設の職員だけだと思っていた。
でも、外にも応援してくれる大人がいると知ることができた。」
「頼れる大人が複数いる」という感覚は、
若者が挑戦していくための大切な土台になります。
7.早川ゼミについて
― 社会的養護を内側から変える学びの場 ―
報告会では、早川さんが主宰する 「早川ゼミ」について紹介させていただきました。
早川ゼミは、
全国の児童養護施設職員や、
社会的養護・アフターケアに関わる支援者が参加する
学びと対話のネットワーク(LINEグループ)です。
現在は 300名以上が参加し、
月1回の学習会や日常的な情報共有を通じて、
制度・実践・価値観のアップデートが行われています。
※なかなか表に出ていない情報ではありますが、私たち支援者は、日々この場で知識・情報の共有を行っています。
現場の職員の皆さまや支援者の方々、また本活動にご関心をお持ちの方は、ご興味がありましたら、ぜひ船切までお声がけください。
8.支援者として参加してくださった皆さまへ
今回の報告会は、
「オンライン報告会参加」のリターンとして開催しました。
議論を深めること、そして卒園生であるひろみさんが安心して話せるように、
少人数での実施としました。
当日は、顔出し・声出しをされずに参加された方もいらっしゃいましたが、
それぞれの形で報告会を見守っていただきました。
なかでも、対話の担い手として積極的に参加してくださった
Kさん(男性・保育士)には、心より感謝申し上げます。
社会的養護の分野外にいる立場から投げかけられた率直な問いは、
「業界の外の人はどのように感じるのか」を可視化するものであり、
今後の活動を考えるうえで、非常に貴重な時間となりました。
9.今後に向けて
― 単発で終わらせないために ―
今回のスタディツアー、そして報告会はゴールではありません。
今後は、
- 社会的養護を経験した若者の選択肢を広げること
- 社会的養護の外側の人が関われる入口をつくること
- 当事者・専門職・支援者が立場を超えてつながること
これらを目指し、
スタディツアーの仕組み化や、継続的な対話の場づくりを進めていきます。
皆さまのご支援によって生まれたのは、
一度きりの体験ではなく、未来につながるスタートラインでした。
改めて、心より感謝申し上げます。
今後も活動の経過をご報告してまいりますので、
引き続き見守っていただけましたら幸いです。
<用語解説>
社会的養護
家庭での養育が難しい場合に、社会全体で親子を支える仕組み。
児童養護施設
原則18歳までの子どもが生活する入所型施設。
卒園生
児童養護施設を退所した若者。
措置解除
法的な保護・支援の枠組みが終了すること。
スティグマ
偏見や「負のレッテル」を意味する言葉。
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