支援者のみなさま、いつも本当にありがとうございます。地球防衛群です。
このたび、公式サイトの資料室に、新しい実務ガイドを公開しました。
「行政文書開示請求のはじめかた」
https://earth-savers.org/toolkit/disclosure-request
風力発電所や太陽光発電所など、大きな開発計画が地域で持ち上がったとき、最初に困るのは「計画の中身がよく分からない」ということです。
どこの森が、どのくらい切られるのか。
水源や生きものへの影響は、どのように調べられたのか。
住民説明会では、どのような意見が出て、どう回答されたのか。
行政と事業者の間では、どのような協議が行われてきたのか。
こうした判断材料が十分に共有されないままでは、地域の話し合いが「賛成か、反対か」だけの対立になってしまいます。
そこで今回、行政が保有している文書を確認するための「開示請求」について、初めての方にも分かるように、手順や注意点を一つのガイドにまとめました。
■ 開示請求は、反対するための道具ではありません
行政文書の開示請求は、役所が仕事のために作成・取得し、組織として保有している文書を「見せてください」と申し込む手続です。
特別な資格は必要ありません。多くの場合、押印も不要です。ただし、請求できる方の範囲は自治体ごとに異なるため、提出先の案内をご確認ください。
そして、誰かを攻撃したり、計画を一方的に止めたりするためのものでもありません。
大切なのは、まず事実を知ることです。
計画に賛成する場合でも、反対する場合でも、同じ資料を見ながら「この場所で、この進め方で本当によいのか」を地域で考える。そのための判断材料をそろえる手続だと、私たちは考えています。
■ 鏡野町で伺った「記録すること」の大切さ
以前、岡山県鏡野町で風力発電計画について地域の方にお話を伺った際にも、録音や文字起こし、情報公開請求など、事実を記録して確認する取り組みが活動を支えていたことを教えていただきました。
大きな計画を前にすると、「自分たちには何もできない」と感じてしまうことがあります。
けれども、行政や事業者が持っている情報を一つずつ確認し、記録を残し、地域で共有していくことで、話し合いの土台をつくることができます。
今回のガイドには、そうした現場から学んだことも込めています。
■ ガイドにまとめた内容
このガイドでは、主に次の内容を掲載しています。
・開示請求とは何か、誰が利用できるのか
・いきなり請求する前に、公開済み資料を探し、担当課へ相談すること
・計画初期・計画中期・着工前という段階ごとに、どこへ何を請求できるか
・事業が複数の市町村や都道府県にまたがるときの進め方
・請求する文書を具体的に伝えるための書き方と、3種類のテンプレート
・実際の記入例(初級編・応用編)
・開示された報告書や図面を読むときのポイント
・一部が黒塗りだった場合や、「文書が存在しない」と通知された場合の確認方法
・資料をSNSやウェブサイトで公表するときの注意
・最初から最後までを確認できる12項目のチェックリスト
特に大切なのは、いきなり請求書を出すのではなく、まず自治体のウェブサイトなどで、すでに公開されている資料がないか探すことです。
そのうえで担当課に、「この計画について、こういうことを知りたいのですが、どの文書を見ればよいですか」と相談すると、正式な文書名や保有している部署を教えてもらえることがあります。
行政の担当者は、対立する相手ではありません。お互いの手間を減らし、必要な文書を正確に確認するためにも、丁寧に相談しながら進めることが大切です。
■ 開示された資料を、そのまま公開してよいとは限りません
今回のガイドでは、資料を入手した後の注意点も詳しくまとめています。
行政から開示された資料であっても、氏名や住所などの個人情報、法人の営業・技術情報、希少な生きものの詳しい位置情報、著作権で保護される図面や写真などが含まれていることがあります。
「開示されたこと」と「自由に転載・拡散できること」は同じではありません。
特に希少種の営巣場所などは、守るつもりで公開した情報が、かえって生きものを危険にさらしてしまう可能性があります。
資料から直接分からないことを断定しない。一部分だけを切り取らない。判断に迷うときは行政や専門家に確認する。こうした点も、あわせてまとめています。
■ 必要としている方へ、ぜひ届けてください
このガイドは、特定の事業や自治体を対象にしたものではありません。
全国のどの地域でも、開発計画の内容を知り、事実に基づいて話し合うための最初の手掛かりとして、無償でご覧いただけます。
身近な地域で開発計画について悩んでいる方や、「何から調べればよいか分からない」という方がいらっしゃいましたら、ぜひこのページをお知らせください。
「行政文書開示請求のはじめかた」
https://earth-savers.org/toolkit/disclosure-request
皆さまからいただいたご支援があったからこそ、こうした資料を調べ、整理し、誰でも利用できる形で公開することができています。
改めまして、本当にありがとうございます。
これからも、地域の方が事実を知り、自分たちで考え、未来を選ぶための道具を、一つずつ増やしていきます。
引き続き、地球防衛群の活動をあたたかく見守っていただけますと幸いです。
地球防衛群
小野
※本ガイドは、行政文書の開示請求制度に関する一般的な情報をまとめたもので、特定の案件に対する法的助言ではありません。制度、請求資格、対象文書、手数料、期限、提出方法は行政機関・自治体によって異なります。必ず、最新の法令・条例と提出先の案内をご確認ください。当財団は、開示請求書や審査請求書の作成・提出の代行、個別案件の法的判断や交渉は行いません。