はじめに

〈挑戦内容〉

ルワンダで出会った女性たち。

気さくで明るいその笑顔の裏には、スラム街での生活、学校の中退、望まない妊娠、ネグレクト、ジェノサイドの名残…そういった背景があった。

逆境を乗り越えようとする彼女たちはテーラーとしての技術を学んでいる最中。そんな彼女たちの自立を支えるために、プロの下での”コーポラティブな職場”を提供したい。

シングルマザーやその子供たちが安心して暮らせる社会にするために始まった挑戦。

〈ご挨拶〉

本ページを閲覧くださり、ありがとうございます！大沼大志と申します。

私はアフリカのルワンダという小国で、スラム街に生活するシングルマザーが安定的で、持続可能な職に就けるよう活動しています。縁もゆかりもなかったアフリカ・ルワンダという国ですが、私が現地でのインターンを通して、今回のプロジェクトを立ち上げるに至った想いを心のままに記させて頂きます。

お時間がありましたら、最後まで読んで頂けますと幸いです。

〈プロジェクトの概要〉

ルワンダのKISEKI Itdという株式会社の下で、今年2月から16人のスラム街で生活するシングルマザーや少女たちがテーラーになるために職業訓練を受けています。彼女たちは「寄付に頼る」のではなく、「自ら稼ぎ、生計を立てる」。こうした自身の自立を図るため、唯一無二のチャンスを精一杯生かし、日々熱心に学んでいます。

こう話しても、1万キロ以上も離れた遠い土地の話です。中々、どんな人たちで、何を考えているのか、実感が沸きにくいでしょう笑

そこで、現地でトレーニングを積んでいる私の友達をご紹介します。

　↑右からアニータ、ジョセリーネ、エメリーネ

アニータはお洒落好きで、とても明るく場を和ませてくれる女性です。私のカメラフォルダを見返すと彼女がモデルのポージングを取ってにこやかに笑っている写真が沢山あります。（本人に取り直しを何回も要求されたからなのですが…笑）

そんな彼女は左足に義足をはめており、人生で一番辛い時期は12歳頃に義足がないことで学校に通えなくなったことと話していました。

ジョセリーネは穏やかで真面目でとても賢い女性です。学校での成績も良く、キニアルワンダ語の分からない私に英語で通訳をしたりと気配りも出来て、私自身も見習う所が沢山あります。

彼女は家族の金銭的事情により成績は十分足りたけれど、望む進学先に進めなかった1人でもあり、また20歳の時に父親が刑務所に収監されるといった苦労人です。

エメリーネは一見クールに見えてたくさん人に悪戯を仕掛けるのが好きな女性です。この時はおでこにシールを貼って笑わせに来ていました笑

彼女は私と同い年ですが、既に一児の母であり、夫は彼女と子供を家に置き去って行きました。そして、彼女が4歳の時に母親をHIVで亡くし、自身も病気の不安に駆られながら生活を送っていましたが、検査結果が陰性でほっとしたと話しています。

彼女たちの他にも、10歳の時に2人兄弟だと思っていたが、実は自分の上に9人兄弟が居てみんなを虐殺で亡くしていた事実を知った子や10代での妊娠を悔やむ子、生まれて早々に親から路上に捨てられていた子…

各々が辛い過去を持ち、そのバックグラウンドを感じさせずに生活を送っています。

その生活も余裕は無く、毎日を切り詰めて耐え凌ぐばかり..

そんな彼女たちを見ていると、「なぜ彼女たちは現状を悲観し、投げやりにならないのか？」「彼女たちが前を向き続ける理由は何なのか？」と私自身不思議に思っていました。

その答えが垣間見えた質問が「職業訓練所で学びを続けるモチベーションは何？」。

これに対して、多くの生徒たちが「娘や息子、家族のより良い未来のため」「子供に誇れる自分で居たいから」と答えます。彼女たちの原動力とは、子供や家族の幸せ。

（↑この子供たちの写真はアニータによる撮影です。）

プロジェクトの課題

「生まれる環境は選べない。だから、豊かさは循環すべきである。」

この言葉は、私がルワンダに飛び立つ少し前に尊敬する友人に言われた一言です。人は生まれる国も、社会も、家族も選べない。だからこそ、人のために自分がどう行動すべきか…

そんな想いを胸に抱き、現地での生活を送ると沢山の課題が浮き上がって来ました。今回はその中でも、KISEKIや彼女たちに関する課題を大きく３つご紹介します。

まず初めに強調しておきたいことは、本プロジェクトはルワンダ政府の要請から始まり、その方針に概ね従う形で、KISEKIが支援を行っています。そのため、彼女たち一人ひとりの自立という目的に首尾一貫した支援形態を取ることが難しい現状はKISEKIが原因ということではありません。

これを踏まえて、①〜③をより詳しく説明すると、先述した通り、本活動は出来立てほやほやの状態です。これまでのデータやノウハウがある訳ではありません。そのため、今年の8月下旬に職業訓練所を卒業する生徒たちが実際に安定した収入の仕事に就けるかどうかは私たちの活動次第によるところが大きいと言えます。

また、研修プログラムが半年と短く、支援の対象者はスラム街で生活するシングルマザー。これは、技術も稚拙で、顧客とのコネクションもなく、スラム街という働く環境が十分に整っていないという観点から、彼女たちが自力でテイラーとして自立することが極めて困難であることを意味します。

「10年間、今と同じ支援を続け、シングルマザーの数十人や数百人の中から、5人のテーラーが育てばいい方だと思う。」

これは、実際に現場で彼女たちに裁縫の技術を指導してくれているプロのテーラーの方がふと口にした言葉です。これが現地の実態なのでしょう。

しかし、テーラー職自体が飽和状態になりつつあるルワンダで、彼女たちが安定した職に就くために、KISEKIスタッフの労力や時間が水泡に帰さないために、この現状を打開する策を講じなければなりません。

プロジェクトの詳細

〈フェードアウトしない職場とは..？〉

タイトルにもある通り、生徒たちが途中でテーラーの道をリタイアしてしまったら全員の努力が水の泡。では、どうするか？？

答えはシンプル。「コーポラティブな雇用を生み出す」

人と共同で働く機会があれば、それはきっと彼女たちを支えることに繋がる。1人で働く難しさは前述した通りです。

プロジェクトの詳細をお話しするにあたり、まず私が現地で行って来た活動内容をお伝えします。その後、今後の方針についてご説明させて頂きます。

現地での活動は上に記載されてある通りです。彼女たちが共同で働き、自身の仕事の腕を鍛えるにはプロの職場で働くことが最適だと考え、現地のプロテーラーに直談判をして来ました。

中央の写真に一緒に写っているルワンダ人の彼は週２回、職業訓練所にて、生徒たちに裁縫のスキルを指導しています。

彼のもとで生徒を何人か（2〜3人）雇い入れて頂く話になり、その為にこちら側として以下の支援をさせて頂く話にまとまりました。

・生徒用の業務用ミシン2台

・各生徒の１年分の雇用保険

*雇用保険は先方の事業が経営難に陥った際に、生徒たちが十分な生活費を毎月手に出来るよう予め備蓄することが目的です。

その為、今回クラウドファンディングで集めた資金は生徒2〜3名分の業務用ミシン代と雇用保険費を担保するために活用させて頂きます。

本来であれば、職業訓練所で学ぶ生徒16人分の雇い口を確保してあげたいところですが、私自身の力不足で支援できる人数は2〜3名に限る形になりました。

それでも、今回のプロジェクトを行う意義として、以下２点あると信じております。

①数名の人生に影響を与えることが出来る

②今回のプロジェクトが成功した暁には、kisekiの支援に新たなロールモデルが生まれ、それが今後、政府と方針を決める際の交渉材料になる可能性が大いにある

「小さな変化がこれから先の大きな変革へと繋がる」

そう信じ、行動しております。

支援の使い道

今回クラウドファンディングに取り組もうと思った理由は２つあります。

１つ目は、私の現地での活動を通して、日本の皆さん（特に学生や山形県民）の可能性の認識差を埋めて欲しいと思ったからです。留学や海外で活動をするハードルは依然として高いように思われます。ですが、実際行動に起こしてしまえばそうでもない。現に、山形の田舎者でも、学生でもアフリカで活動できてしまう。比較的身近な例として、人が挑戦を起こすために足枷を外せたら..と思っています。

２つ目は、この事業は投資リターンを見込んだビジネスではなく、社会活動です。私1人では世界の社会課題を何一つ解決することが出来ません。ですが、それでも支えたい人達がいる。私の想いに共感をし、活動を応援して下さる皆様と目前の社会問題に取り組みたい。そういった想いから今回クラウドファンディングを実施するに至りました。

ご支援いただいた資金は以下の目的で使わせていただきます。

• プロジェクトスタートの準備費用：350,000円

①ファーストゴール（1名分の雇用創出）：150,000円

（内訳）

・業務用ミシン（1台）：62,500円

・雇用保険（1年分）：67,500円

　*月5600円×12（備考：現在の彼女たちの支援金は月1500円）

・リターン品自己負担額：20,000円

②セカンドゴール（2名分の雇用創出）：200,000円

（内訳）

・業務用ミシン（1台）：62,500円

・雇用保険（1年分）×2人：67,500円

 *残金は現地への送金料（数百円）と上記雇用保険に等しく上乗せし活用させて頂きます。

さいごに

「安定した雇用を生み出すことは笑顔を生み出すこと！」

冒頭のタイトルにもある様に、「雇用創出＝笑顔創出」。このことについて、私が現地で感じたことをお話しし、最後に私のこのプロジェクトにかける想いを載せて、本文を締めさせて頂きたいと思います。もう少々お付き合いして頂けますと幸いです。

私がルワンダに到着してすぐの事です。現地の女性たちと話す中である発見をしました。大半の生徒たちが特に将来の目標がない中、ダイアナという子が「高校に進学して、建築学を学びたい」と言ったのです。

（↑ダイアナ）

彼女は将来の目標があり、やる気もある。みんなと同じ様にテイラーの道に進ませるより彼女の意思を尊重した支援をすべき。そう思った私はKISEKIの女将さんに彼女に合った支援を持ちかけました。当時、国際協力に疎い私に女将さんはこう言いました。

「彼女にはテイラーになること以外の夢があるかもしれない。しかし、その夢を追いかけるのはテイラーになった後でもいいのではないか？」

この会話は私に、雇用を生み出すとは、現地の人に選択肢を生み出すことだと気づかせてくれました。テイラーになる選択をした先に、また新たな選択があって良い。

目標や夢が変わってもいい。

大切なことは、いま目の前のことを努力すること。

それがきっと彼女たちの人生に良い兆しをもたらしてくれる。

そして、彼女たちの働きは子供たちの未来を左右する。

彼女たちが笑って暮らせる生活にするため、子供たちが笑って育てる環境にするため、私はより良い職場環境を提供できる様に最善を尽くします。

みなさんもぜひ応援して頂けますと幸いです。