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アボカド加工品で、ケニアの農村コミュニティに還元されるしくみを作りたい!

サポーター

伊治 由貴

  • 応援コメント もっと見る

    との(協力隊OB)

    2024年5月16日

    いつも応援しています!やくし、伊治さん、頑張ってください!

    Nama

    2024年5月16日

    オンラインイベントに参加して、このプロジェクトが社会課題の解決のためにとてもいいプロジェクトになると思いました!このプロジェクトを応援しています!

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ケニアでの隊員活動 どのようなインパクトを出したか?

2024/4/29 07:08


前回に引き続き、隊員活動のことを書きます。

この2年間の活動を通して、どのようなインパクトを出せたのかを書きたいと思います。

 

私の配属地域はケニア西部のケリチョという紅茶の産地で有名な地域。配属先はアイナモイ・サブカウンティ-(サブ・カウンティーは日本の市町村と同じ)農業事務所でした。

 

要請内容は、任地の作物を使った付加価値商品開発と販売促進。これを通して農家の収入向上に繋げることが目的です。

 

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まず、アプローチの仕方は次の通り。

①付加価値商品に関心を示す農家からのヒアリング・新規開拓

初期の頃は、配属先の農業局オフィサーに何件かおすすめの農家を紹介してもらい、とにかく村々を歩きまわりました。日中に畑仕事をしている農家さんとお喋りするだけでも大切な情報収集です。


栽培作物、マーケットで販売はしているか、収益の使い道、今困っていること(例えば学費が払えていない、治療費が足りず病院にいけないなど)を詳しくヒアリングしました。


1年が経過した頃からは口コミで農家さんからオファーをもらうことも。

少しずつ対象エリアを広げ、最終的にはケリチョ・カウンティーの全てのサブ・カウンティーへの訪問が実現しました!

 

また新規開拓の対象者は農家に限りません。

農家といっても個人農家や農家グループの他、更生学校、職業訓練校、茶葉研究組織、地元のレストランなど。情報提供や将来の職業選択に役立ててほしいという思いも込めて、幅広い層に対して新規開拓をしていました。

 

②付加価値商品の紹介や利点をレクチャー

 

その中で付加価値商品の開発に関心のある農家に対して、商品紹介や利点を伝えます。

 

主に紹介していた作物は、

バナナ、アボカド、ソルガム(日本語名でタカキビ)、フィンガーミレット(日本語名でシコクビエ)、パイナップル、乾燥野菜(スクマウィキやほうれん草などケニア人が普段食べている葉野菜)。

 

紹介した付加価値商品は全16種

バナナでは、マンダジ(マンダジは揚げ物に似ているお菓子。前回の記事で詳しくご紹介)、パウダー、ジャム、パンケーキ。

他にもアボカドオイル、アボカドソープ、パイナップルジャムなどです。

 

これらの商品の特徴は主に3つ。

①短時間で調理が可能

②低コストで材料が揃う

③作り方が簡単もしくは既に知っている

農家さんは朝から農作業、家事、育児、薪集めなどやることが盛りだくさん!その中で付加価値商品を作るとなると、なるべく負担にならないことが必須条件です。

 

付加価値商品の利点は、作物をそのままで販売するよりも利益率が高いこと。


例えば1本5シリング(約5円)のバナナをそのままで10本売ると50シリングにしかならないのに対して、バナナを10本使ってバナナマンダジを80個(1個10シリング)販売すると材料費を引いても約400シリングの収益になります。(材料費にバナナも含みます)


つまり収益は8倍になるわけです!そのように数字を見せながら、これはビジネスになり、同時に収入向上になることを伝えていきました。やはり数字を見ることで、農家さんの関心度はより増したと感じます。

 

③付加価値商品の試作

 

ブラウンチャパティ(ソルガムを混ぜた生地を焼いたトルティーヤ風の食べ物)を試作している様子。


その中でも「作ってみたい!」という声があれば早速試作会を開催。子どもからお年寄りまで、皆興味津々です。

この試作を何度か繰り返し、「この味なら売れる!」と農家さんが判断するまで続けます。

 

④試作後は販売へ

 

上記でも紹介したブラウンチャパティを販売している様子。


何度か試作を繰り返し、販売できるレベルに達したらいよいよ販売です!!


販売場所は、まずは近隣からということで農家さんの自宅近くのマーケット(この地域は火曜日がマーケットデーといい皆露店を出す日)で販売を開始しました。やはり知り合いが多いためか興味を持って買ってくれる人が多い印象です。


基本的には歩き売り販売。その商品の作り方や、材料に含まれる栄養素をパネルにまとめ、それを見せながら販売していきます。 


⑤販路拡大、継続サポート

ある程度販売が軌道に乗ってきたら任地ケリチョのタウンで販売。タウンでは価格設定をマーケットの倍に。地元のマーケットに比べて富裕層の割合が多く、この価格設定でも地方のマーケットで販売する時の倍の速度で売れました。一緒に販売した農家さんにとってもビジネスを知る貴重な経験になったはずです。

 

継続サポートとして、

・家計簿の付け方指導

・レシピ集の作成(紙媒体、PDFデータ、YouTube)

を実施しました。


家計簿は販売まで至った農家さんが、自身のビジネスの収入・支出・利益が可視化できるシートを作成し、帳簿付けを習慣化しました。目的はモチベーションを維持してもらうためです。

 月ごとにページを分け、収入、支出をそれぞれの項目に記入します。月末に利益を計算します。



もう一つはレシピ作成。紙、PDF、YouTubeとそれぞれ用途によって媒体を分けました。


・紙媒体:販売まで至った農家さんが、次は自身が教える立場になってレクチャーが可能。


 冊子にまとめたレシピ集


・PDFデータ:WhatsappなどSNSでシェアが可能。

PDFなのでデータを共有する際に使用。全てスワヒリ語です。


・YouTube:ネット環境で何度でも見返すことが可能。

自身のチャンネル「Chemutai channel」を開設。

親しんでもらえるように、私の現地語ネームChemutaiを名前に入れました。



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このような活動を2年間行った結果、以下のような実績を上げることができました。


・訪問数(個人、グループ、学校、研究組織など全て含めて):42件

・試作づくり回数:191回

・販売に至った件数:6件

・販路拡大した件数:4件

 

・付加価値商品の販売に伴う収益計:31,393シリング(約31,393円)

内訳)

・ソルガムティー:20,850シリング

・バナナマンダジ:8,563シリング

・アボカドソープ:1,980シリング

 

これがケニアにおいてどのくらいの費用に相当するのか…

例えばバナナマンダジを販売した農家さん。

収益は8,563シリングでした。これは高校年間学費の約70%に相当します。

(ただし通学制の高校の場合。年間学費は平均12,000シリング。寮の場合は年間約60,000シリングほど)

 


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付加価値商品を作ることは決して簡単なことではありませんが、一度の収益が400シリングだったとしても、コンスタントに続けていくことで高校の学費7割分を払えることにもなるのです。


私もこの経験を通じて、付加価値商品の可能性を感じました!


試作の段階から根気強く商品販売を続けた農家さんには感謝しかありませんし、彼らにとって生活の質が少しでも向上していたらこれ以上嬉しいことはありません。

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