150年後の日本
命に火をつける舞台『やむにやまれぬ蒼』を次世代に遺したい!
みんなの応援コメント
ひかりさん
2025年1月12日
応援しています!
さっこ
2025年1月11日
熱い想い、沢山の方に届きます様に。
FOR GOOD
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【やむ蒼群像劇】銭祥貴の場合
2025/1/8 09:00
義理の父親からの暴力に、身体や命の危険と隣り合わせだった少年時代の僕。幼くして自己開示や表現を避けるようになった。大人になって心身を自分で守れるようになってからも、自分の意思や気持ちを積極的に伝えるタイプではなかった。
そんな僕が桂小五郎さんを演じる中で、「死に方がわからなかった」「死ねなかった」ことに葛藤し続けたのは、必然だったのだと思う。桂さんが病でこの世を去るシーンは、僕の過去のトラウマを抉るものがあった。幼い頃の義父の暴力で、命を脅かされる経験をした僕の心には、「死にたくない」「殺されたくない」という感覚が強烈に刻まれていたのだ。
葛藤を隠していたわけではないのだが、稽古の帰りによく一人で泣いていた気がする。そうやって桂さんの死を通じて自分の心の傷と向き合い続けた。
やがて、「死は悪いものではない」「死はいつかやってくるものだ」と、恐れを乗り越えて、ニュートラルな見方で死と向き合えるようになった。命があることのありがたみを今まで以上に抱くようになった。
このプロセスで、座組のみんなだけではなく、家族の存在にも助けられていたように感じる。家で芝居の練習をしていると、子どもが高杉晋作役を引き受けてくれたりして、掛け合いを通じて家族の絆がさらに深まっていった手応えがある。舞台にも、家族が見にきてくれて、僕はもちろん、熱く生きる大人の背中を見せられたことはみんなにとって豊かなことだったのではないかと思う。
2023年の出演と2024年の広報面でのサポートを通じて、死への恐れが和らいだと同時に、命の有限性が腑に落ちた僕。毎朝家を出る前に、家族とハグをするようになった。それまでもしていなかったわけではないが、今日1日を生きて帰ってくる保証なんて、究極どこにもないのだ。後悔なく命をまっとうするために、これまで以上の家族への愛を伝えようと決めた。この小さな変化を、僕はとても愛おしく感じている。
銭祥貴(2023年・桂小五郎役)
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