宮里大八国際交流基金の2026年度海外派遣。
インドネシア・バリ島での10日間を終え、ドリーマーたちが沖縄へ帰ってきました。
今回の旅は、最後まで予定通りにはいきませんでした。
台風の影響でシンガポールから沖縄への便が欠航となり、帰国が1日延びることに。
しかし振り返ってみると、その出来事さえも、2人にとって海外で自分たちで考え、行動するための大切な経験になったように思います。
バリ島で過ごした10日間
今回の海外派遣では、単にバリ島を「訪れる」のではなく、できるだけ現地の暮らしの中に入ってもらうことを大切にしました。
ホームステイでは、ホストファミリーと一緒に生活。
後半のホームステイ先では、日本語も英語もほとんど通じない環境の中で、インドネシア語やバリ語、身振り手振りを使いながらコミュニケーションを取りました。
レンボンガン島では、バリ倶楽部の皆さんと一緒に観光の仕事も体験しました。
SUPやシュノーケリング、マンタツアーなどを楽しむだけではありません。
ゲストを迎える準備、安全確認、ツアーのサポート、食事の提供、終了後の片付けなど、「観光を提供する側」の仕事を経験しました。
そして何より、現地の人たちが日本から来たゲストをどのように迎え、地域の文化や歴史、自然をどのように伝えているのかを、間近で見ることができました。
ホームステイ、仕事、食事、言葉、文化。
沖縄とは違う環境の中で過ごした一つひとつの経験が、2人の中に何かを残してくれたのではないかと思います。
最後に書いた、支援者の皆さんへのメッセージ
帰国の途中、2人には今回の派遣を支えてくださった方々へのメッセージを書いてもらいました。
手書きのカードには、それぞれの言葉で10日間を振り返った思いが書かれていました。
一人は、
「海外のご飯に最初はくわずぎらいがありましたが、最終的に、このご飯はどんな味がするんだろう? 食べてみようなどと、自分から挑戦するようになっていました」
そして、
「出身国や言語がちがっても、分かり合えることで、世界は広がっていくんだと感じることができました」
と書いています。
もう一人も、
「10日間という期間ではありましたが、私達のサポートありがとうございました」
と、バリ倶楽部の皆さんへの感謝を記していました。
支援してくださった皆さんへのカードには、
「今回私は多くの支援者様のおかげで、夢の一歩である海外へ行くという挑戦ができました」
という言葉もありました。
私が説明するよりも、本人たちの手書きの文字を見ていただくことが、一番伝わるのかもしれません。
台風で、帰国便が欠航
本来であれば、予定通りシンガポールを経由して沖縄へ帰るはずでした。
ところが、台風の影響でシンガポールから沖縄への便が欠航。
帰国を1日延ばすことになりました。
航空会社との調整や航空券の変更など、大人にとっても簡単ではない対応が続きました。
ただ、これも海外に出るということの一つの現実です。
飛行機が飛ばない。
予定が変わる。
言葉の違う場所で次の方法を探す。
「予定通りにいかないとき、どうするのか」
それも教室ではなかなか学ぶことのできない、海外での大切な経験だと思います。
シンガポール・チャンギ空港でも「学ぶ」
乗り継ぎ時間が長くなったことから、シンガポールのチャンギ空港も体験することができました。
Jewel Changi Airportへ行き、巨大な屋内滝「Rain Vortex」を見学。
昼から夜へと変わっていく中で、照明によって表情を変える滝や、空港とは思えないほど豊かな植物、巨大な空間を2人も夢中になって見ていました。
空港は単なる「飛行機に乗る場所」ではありません。
観光施設、ショッピング、飲食、エンターテインメント、交通などを組み合わせ、一つの目的地をつくっています。
バリ島で観光の仕事を体験してきた2人にとって、世界を代表する空港そのものを体験できたことも、意味のある時間だったと思います。
自分たちで空港を移動する
Jewelを見学した後は、再び空港内へ。
ターミナルを移動するため、Skytrainに乗りました。
案内表示を確認し、乗り場を探し、列車に乗って次のターミナルへ向かいます。
もちろん私も一緒にいます。
しかし、何でも大人が先に答えを教えるのではなく、できるだけ自分たちで案内表示を見て、考え、動いてもらいました。
10日前、沖縄を出発したときと比べると、海外の空港を歩く姿にも少しずつ慣れが見えてきたように感じます。
こうした小さな変化こそ、今回の派遣で大切にしたかったことの一つです。
ラウンジで過ごす、帰国前の時間
長い乗り継ぎ時間の途中では、空港ラウンジでも過ごしました。
食事をしたり、スマートフォンを充電したり、少し休憩したり。
10日間、さまざまな経験をしてきた2人にとって、ようやく少し落ち着ける時間だったかもしれません。
バリ島でのホームステイ。
観光の仕事。
海でのアクティビティ。
現地の人たちとのコミュニケーション。
そして予期せぬ帰国便の欠航。
本当にいろいろなことがありました。
そして、沖縄へ
シンガポールを深夜に出発し、ようやく沖縄へ。
那覇空港に到着しました。
最後に3人で写真を撮りました。
10日前にも同じ場所から旅が始まりました。
しかし、帰ってきた2人は、出発したときとまったく同じではないと思います。
海外へ行ったから、突然何かができるようになるわけではありません。
10日間ですべてが変わるわけでもありません。
今回の経験が、本当の意味でどのような価値を持つのかは、もしかすると数年後に分かることなのかもしれません。
何かに挑戦するとき。
進路を考えるとき。
知らない人と出会ったとき。
自分とは違う文化や価値観に触れたとき。
「あのとき、自分はバリ島へ行った」
「あの環境でも10日間過ごすことができた」
そんな経験が、ほんの少し背中を押してくれれば、それで十分だと思っています。
「行ってみたい」を「行ってみた」に
宮里大八国際交流基金を始めた理由の一つは、家庭の経済的な事情などによって、子どもたちの可能性が最初から狭められてしまうことを少しでも減らしたかったからです。
海外に興味がある。
外国の人と話してみたい。
違う文化を見てみたい。
でも、自分には無理かもしれない。
そんな中学生、高校生の「やってみたい」を、社会の力で「やってみた」に変える。
その小さな成功体験が、その後の人生の選択肢を広げてくれると信じています。
今回の2人も、たくさんの方々の支援があったからこそ、バリ島へ行くことができました。
クラウドファンディングで応援してくださった皆さん。
バリ倶楽部の皆さん。
ホームステイを受け入れてくださったご家族。
現地で出会い、声をかけ、助けてくださった皆さん。
そして、2人を送り出してくださったご家族。
本当にありがとうございました。
皆さんの支援は、航空券や宿泊費になっただけではありません。
2人が世界を見るための「機会」になりました。
旅は終わりました。でも、挑戦はここから。
バリ島での10日間は終わりました。
しかし、今回の海外派遣の本当の成果を見るのは、これからだと思っています。
2人が今回見た景色、出会った人、戸惑ったこと、失敗したこと、楽しかったこと。
それらがこれからの学校生活や進路、そして人生のどこかでつながっていくことを願っています。
そしていつか、今回支援してもらった2人が、今度は誰かの「最初の一歩」を応援する側になってくれたら。
そんな循環が生まれたら、この基金を続けてきた意味があるのだと思います。
「行ってみたい」を、「行ってみた」へ。
2026年、宮里大八国際交流基金のバリ島海外派遣。
無事、終了しました。
支えてくださったすべての皆さま、本当にありがとうございました。
そしてドリーマーの2人へ。
10日間、本当にお疲れさまでした。
そして、おかえりなさい。
追伸|ウークイの日に、沖縄へ
沖縄に無事に到着すると、保護者の皆さんが2人を迎えに来ていました。
10日間のバリ島での生活を終え、少し成長して帰ってきた子どもたち。
その姿を見つめる保護者の皆さんの嬉しそうな表情が、とても印象に残りました。
そして今日は、沖縄の旧盆の最終日「ウークイ」です。
それぞれの家庭では、これから親戚への挨拶回りに行くそうです。
きっと今夜は、バリ島で経験したホームステイのこと、海での仕事のこと、現地で出会った人たちのこと、食べたことのない料理に挑戦したこと、そして台風で帰国便が欠航したことまで——。
10日間の思い出話に花が咲くのではないでしょうか。
ウークイの今日は、ご先祖様も家に帰ってきています。
おじい、おばあ、そしてウヤファーフジ(ご先祖様)も、2人が無事に沖縄へ帰ってきたこと、そして一歩成長した姿を、きっと喜んでくれているのではないかと思います。
今回の旅は、2人だけの挑戦ではありませんでした。
送り出してくれた家族がいて、沖縄から応援してくれた人たちがいて、バリ島で迎えてくれた人たちがいて、そして、そのずっと先には私たちにつながるご先祖様がいる。
そんな人と人とのつながりの中で、2人は今回の10日間を経験することができました。
これから先、2人がどんな道を歩んでいくのか。
家族も、私たちも、そしてご先祖様も、きっとその成長を見守っていると思います。
バリ島での旅は終わりましたが、2人の挑戦はこれからも続きます。
9月の報告会で、また会いましょう!
そのとき、2人自身の言葉で語られる「バリ島での10日間」を聞けることを楽しみにしています。