クラファン5日目です!たくさんの応援、本当にありがとうございます!
おかげさまで38名の方からご支援をいただき、支援総額は50万円を突破しました!
食農みらい塾を知ってくださる方が少しずつ増え、「一緒に未来をつくりたい」と仲間になってくださる方がいることを、本当に心強く感じています。みなさんの応援が、大きな力になっています。
今回は、「なぜ今、類設計室が『食』と『農』の学びを社会に届けようとしているのか」をテーマに、立ち上げに携わった4人に話を聞きました。
私たちがこのプロジェクトに込めた想いを、ご覧ください。
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一級建築士から建築を学ぶ「こども建築塾」、社会の第一線で活躍する実業家と事業づくりに挑む「こども起業塾」。株式会社類設計室の「しごと学舎」は、子どもたちが社会の“本物の仕事”に触れる学びを展開してきました。
そして2026年、新たに始まったのが「食農みらい塾」です。
農家からバイヤー、シェフ、パティシエ、クリエイター、食品の研究者ーーー食に関わる仕事は実に多様です。そんな世界に夢を描く子どもたちへ届けたい講座です。
畑で野菜を育てるだけではありません。生産から流通、販売、商品開発まで、食を支える仕事の全体像を学び、子どもたち自身がその未来を考える。
農家に会う、お店に行く、商品を考える、自分たちで売る。
食と農をテーマに、地域の課題を考える力も、アイデアを形にする力も一緒に学ぶ探求プログラムです。
なぜ今、類設計室が「食」と「農」の学びを社会に送り出すのか。立ち上げに携わった4人に聞きました。
◆インタビューを受けてくれた人たち(本文登場順、敬称略)◆
・山根 教彦(事業統括部 事業戦略課)
・小林 有吾(農園事業部)
・逆井 聖也(事業統括部 事業戦略課)
・小山 大輔(教育事業部 自然学舎)

左から山根、小林、小山、逆井
「自然体験」を、将来につながる学びへ
――食農みらい塾は、どのような問題意識から生まれたのでしょうか。
山根 類設計室には、建築設計、教育、農園など複数の事業があります。2023年に、教育と設計の共創から「こども建築塾」を立ち上げ、続いて「こども起業塾」を始めました。そこで次に考えたのが、教育事業と農園事業の共創です。
当社には、自然の中で子どもたちの感性や生きる力を育む「自然学舎」があります。一方で、自然体験の先にどのような仕事や社会が広がっているのか、子どもたちが具体的に思い描くところまでは、十分に届け切れていませんでした。
自然に触れて楽しかった、野菜を収穫しておいしかった。それだけで終わらず、つくったものを運び、売り、届けるところまで学べないか。そこから「食農みらい塾」の構想が始まりました。
小林 類農園は、奈良県宇陀市と三重県度会町で農産物を生産し、大阪で直売所を運営しています。そのため、農家だけでなく、流通、小売、食品加工など、食に関わる多くの人や企業とのつながりがあります。
農業体験にとどまらず、食卓に届くまでの仕事の全体を子どもたちに見せられる。それが、私たちだからこそできる食と農の教育だと考えました。

農業や食の世界を、ワクワクする未来へ
――その背景には、農業を取り巻く担い手不足もあるのでしょうか。
小林 類農園が農業を営む奈良県や三重県でも、「この農地を引き受けてもらえないか」という相談が増えています。農業を続けたくても、次の担い手が見つからない。現場では、その深刻さを日々感じています。
これは全国的な課題でもあります。農林水産省の2025年農林業センサスによると、個人経営体の基幹的農業従事者は、2000年の240万人から2025年には102万人まで減少し、平均年齢は67.6歳に達しています。農業に携わる人を増やすだけでなく、限られた担い手で生産を支えられる、新しい農業の仕組みづくりも求められています。
山根 採用活動に関わる中で、農業関連のイベントに参加する農学部の学生からも、「農業には関心があるけれど、就職先としては選ぶにはまだ怖い」という声があります。一方で、食品会社や研究機関、流通、小売などまで視野を広げると、食農に関わる仕事は多様にあります。
先日、ある方がこんな話をしてくれました。「子どもの頃、家の農作業を嫌々手伝わされ、農業はしんどいものだと思ってしまった。けれど、食農みらい塾のように、農業の面白さや未来にワクワクする経験ができていたら、印象はまったく違っていたと思う」と。
なるほどと思いました。食農みらい塾を、将来の担い手を直接育てるだけでなく、食と農の面白さに出会い、そこに関わる人たちがつながる場にしたいと考えています。
なぜ「農業塾」でも「料理教室」でもないのか
――「食」と「農」を一体で学ぶことには、どのような意味がありますか。
小林 食べ物は、農産物をつくるだけでは人のもとに届きません。選別し、運び、加工し、価格を決め、店頭に並べ、魅力を伝える人がいます。農業の先には、実に多くの仕事があります。
しかし、子どもたちがそれらの仕事に触れる機会は、ほとんどありません。農家を訪ねる機会はあっても、流通会社や小売店、加工会社の仕事まで知ることは難しい。食農みらい塾では、その見えにくい世界まで開いていきたいと考えています。
逆井 ある生徒から、「スーパーに並ぶカットされた豚肉は、最初からあの形だと思っていた」と聞いたことがあります。店頭にきれいに並んでいる商品の奥に、どれだけ多くの人の仕事や工夫があるのか。それは、教科書だけではなかなか実感できません。
食は誰にとっても身近です。だからこそ、その背景を知ることが、社会や仕事を知る入り口になると思います。

シカに食べられたナスから、流通を学ぶ
――プログラムでは、どのようなことに取り組んでいますか。
小山 1年目の前期は、野菜を育て、収穫し、自分たちで販売するところまで取り組みます。後期には流通や加工、小売など、食に関わるさまざまな企業の現場を訪ねます。食農の原点を学びながら「商いの原点」にも迫ることを目指しています。将来企業や農園事業部と連携した商品開発にも挑戦したいと考えています。
ただし、自然を相手にするので、計画どおりには進みません。販売会に向けて育てていた野菜が育ちすぎて売れなくなったり、ナスがシカに食べられてしまったりしたこともありました。
――そうなると、販売会は中止になるのでしょうか。
小山 中止にはしません。今残っている作物で何ができるかを考える。足りないものは農家や農園から仕入れられないか検討する。そこで、流通や仕入れという別の仕事が見えてきます。
大人が用意したレールの上で、予定された成功を体験するのではありません。想定外の出来事に直面し、「では、どうするか」を子どもたち自身が考える。その過程にこそ、本物の学びがあると思っています。
逆井 仕事には期限も相手もいます。「失敗したけれど、よい経験になった」で終わらせることはできません。何らかの形でお客さまへ届けなければならない。その緊張感は、一般的な農業体験にはない、食農みらい塾の大きな特徴です。

上画像・食農みらい塾の1年目前期のカリキュラム

上画像・1年目、2年目の学びのイメージ
食農の課題に、自分の手で関わりたい
――現在、どのような子どもたちが参加していますか。
小山 初年度の今年はスモールスタートで、現在は小学生から高校生まで10数名が参加しており、半数以上が中高生です。自然学舎から進んできた子もいれば、「食や農に興味はあるけれど、何から始めればよいか分からない」と参加した高校生もいます。
運営にも、高校生や大学生がスタッフとして加わっています。ある高校生スタッフは、小学生の頃に第一次産業の就業人口が少ないことを知り、「ここが崩れたら、すべてが成り立たなくなるのではないか」と感じたそうです。その子は、今では自ら農家を訪ね、食の世界へ進むために行動しています。
山根 最近は、学校で環境問題や農業や食品の課題を学ぶ機会も多くなっており、問題意識を持っている子どもは少なくありません。ただ、関心を持った後、実際に企業や農家と出会い、行動へ移せる場所はまだ限られています。
食農みらい塾を、子どもたちの問題意識と、社会の現場をつなぐ場所にしたいと考えています。

上画像・実践的な講座でさまざま年齢の子どもたちが受講している
AI時代だからこそ、土に触れ、失敗することが意義ある
――AIが急速に広がる今、食農教育にはどのような価値があるのでしょうか。
山根 情報を集め、分析し、答えを出す領域では、AIが大きな力を発揮します。一方で、土に触れ、作物を育て、食べ、人と食卓を囲むことは、身体を通して初めて得られる経験です。
食と農を通じて、人や自然、社会のつながりを実感する。AI時代になればなるほど、こうした身体性を伴う学びの価値は高まると考えています。
逆井 AIに聞けば、ナスを育てる方法も、獣害のリスクも教えてくれます。しかし、実際に育てたナスをシカに食べられたときの悔しさまでは体験できません。その感情があるからこそ、本気で次の方法を考える。知識を得るだけでなく、現実に働きかける力を育てたいと思っています。
小山 食農みらい塾の子どもたちは、スマートフォンやAIも活用しています。作物の写真を記録し、育て方を調べ、AIと対話しながら次の手を考える。デジタルから離れるのではなく、現実をより深く捉えるために使いこなす。その点でも、食農はこれからの時代に合ったテーマだと感じています。

上画像・講座の収穫体験。AI時代、土に触れ、身体で学ぶことがますます重要に
「育てる・売る」の先に、「一緒に食べる」がある
――食農みらい塾では、「食べること」をどのように捉えていますか。
山根 食農みらい塾が目指しているのは、育てて、売って終わることではありません。自分たちが関わったものを、最後は誰かと一緒に食べる。そこまでつながることで、食を生み出した人への感謝や、食を介して人とつながる喜びを実感できると考えています。
農林水産省も、家族などと食卓を囲む「共食」を食育の原点と位置付けています。国内外の研究でも、共食の頻度は、健康的な食生活や心の健康、家族や社会とのつながりなどと関連することが報告されています。
また、農林水産省が紹介する全国調査では、毎日朝食を食べる子どもほど、学力調査の平均正答率や体力調査の合計点が高い傾向も示されています。食は、学びや成長を支える生活の土台でもあります。
※出典:農林水産省「令和6年度 食育白書」

上画像・「共食」は食農の原点。受講生みんなで一緒に食べる
子どもたちと、食農の未来をつくる
――受講した子どもたちには、どのような変化が生まれていますか。
小山 「普段食べているご飯がどのようにつくられているのかに興味を持つようになった」「まだ先だと思っていた、自分の将来について考えるようになった」という声をいただいています。
印象的だったのは、保護者の方から「これまであまり欲しいものがなかった子が、自分で育てるからタネを買ってほしい」とお願いしていたことです。活動をきっかけに、自分の中から「もっとやりたい」が生まれ、家に帰ってからも試行錯誤を続けている。そこに大きな成長を感じます。
私たちは、全員に農家になってほしいわけではありません。農業、流通、食品開発、研究、栄養、料理など、食農から広がる世界は多様です。子どもたちが自分の興味を見つけ、自分の足で将来へ進み始めることを願っています。
逆井 今後は、食品加工や流通、小売、研究などに携わる企業や専門家との連携をさらに広げていきます。特に挑戦したいのが商品開発です。農産物加工協会に参加されている食に携わる方々へ食農みらい塾の構想をお話しすると、「工場を使ってもらってもいい」「子どもたちが育てた野菜を加工してみてはどうか」と、具体的な提案をいただくことがあります。
そこにあるのは、自社の商品をつくるだけではなく、食品産業の未来をよりよくしたいという思いです。私たちも、自社だけで完結する講座にはしたくありません。農家、加工会社、流通・小売企業、研究者など、食を支える人たちと子どもたちが出会い、それぞれの知恵や技術と、子どもたちの自由な発想を掛け合わせる。その中から、実際の商品や新しい仕組みを生み出していきたいと考えています。
食農×〇〇で、さまざまな分野と共創して開かれたコミュニティへ育てていく
山根 「食農×○○」という形で、異なる分野との共創も広げたいと思っています。例えば、アウトドアやファッション、デザイン、テクノロジーなど、これまで農業との接点が薄かった分野と結び付けば、食農の魅力や仕事の可能性を、より多くの人に届けられます。
食農みらい塾を、食や農について学ぶ講座にとどめず、子ども、企業、地域が一緒になって食農の未来をつくる、開かれたコミュニティへ育てていきたいです。

小山 食農みらい塾は、完成された答えを子どもたちに教える場所ではありません。食と農の現実に触れ、社会の課題を知り、仲間やプロと一緒に未来をつくっていく場所です。
「育てる・売る・届ける・食べる」という一連の営みを通じて、子どもたちが社会を自分ごととして捉え、自ら動き始める。その学びを、多くの企業や地域の皆さまとともに育てていきたいと考えています。
まず来てみてほしい!
――これを読んでいる皆さんへ最後にお伝えしたいことはありますか?
小山 1度、体験でもいいのでぜひ来てください。「子どもに何かを習わせる」という感覚だけでなく、できれば親御さん自身にも、見て、感じていただきたいと思っています。
山根 参加してくださった方には、私たちが提供したい価値を実感していただけるという手応えがあります。一方で、その魅力を、まだ自然学舎を知らない方へ十分に届け切れていません。参加してくださる皆さんと一緒に、この学びの輪を広げていきたいです。
食農につながる、幼少期の自然体験も
小山 食農みらい塾の対象は小学4年生以上ですが、私たちは、それ以前の幼少期に自然の中で五感を動かし、夢中になって遊ぶ原体験も大切だと考えています。
土に触れる。生き物を見つける。思いどおりにならない自然と向き合う。そこで生まれた好奇心や感動が、成長とともに「もっと知りたい」「社会の中で生かしたい」という意欲へつながっていきます。

上画像・自然学舎には250を超えるプログラムがある
自然学舎では、食農みらい塾のほかにも、乳幼児や小学1~3年生が参加できる企画、自然百姓塾、アドベンチャーフィールド、季節ごとの日帰り・宿泊イベントなど、成長段階に応じた自然体験を展開しています。
まずは自然の中で思いきり遊び、心が動く体験をする。そして成長した先に、食農の仕事や社会の課題へ踏み込んでいく。食農みらい塾だけでなく、その土台となる自然学舎のさまざまな活動にも、ぜひご注目ください。
▶ 自然学舎の講座・イベントを見る

取材を終えて――未来のことは、子どもたちと考える
インタビューでも語られていた通り、「食」と「農」の世界は、さまざまな分野にまたがっています。
それは生物学であったり、環境問題であったり、医学やウェルネス、文化や文明、さらにはエネルギーの問題にも重なっています。このストーリーの冒頭の方で、子どもたちは、農家になってもいいし、バイヤー、シェフ、パティシエ、クリエイター、食品の研究者などにも進める、さまざまな選択肢があるといったのは、そのためです。
そんなにも広範囲で巨大なテーマであるのに、われわれにとってあまりにも日常であったり(食)、都市の現代生活から切り離されていたりするから(農)、見えにくいものです。
特に大人たちはそうでしょう。しかし、子どもたちは違います。感性は豊かで、ちゃんと学べば無限の伸びしろがあります。「子どもは未来からやってくる。だから未来のことは子どもに聞け」と喝破した教育思想家がいました。
類設計室教育事業部の食農みらい塾に集まる子どもたちはまさに未来からやって来ているに違いありません。 未来のことは食農みらい塾の子どもたちに尋ねましょう。きっと大人の考えが及びもつかない、ワクワクする希望の答えを返してくれるはずです。
なお後期の募集も始まっているようなので、少しでもご興味を持たれた方はぜひ、問い合わせをしてみてください。

(1年目後期のプログラム)

◆食農みらい塾のHP