「未来のシマ共創会議 2026」では、今年のテーマのひとつに防災を掲げています。
本会議の共創ワークショップでアドバイザーを務めてくださるのが、大阪公立大学大学院文学研究科 准教授の菅野拓(すがの・たく)さんです。
菅野さんからいただいたクラウドファンディングへの応援メッセージを紹介します。
菅野拓さんからの応援メッセージ
「縁のなかった島に毎年通って15年が経ちました。 島だからこそ見えやすい人のつながりによって、様々な困難に対応していく様から、いつも学んでいます。 かかわることの多い災害対応の未来もきっと離島にあると思っています」
菅野さんの専門は、人文地理学・都市地理学・サードセクター論、そして防災・復興政策。東日本大震災以降、被災地で「支援が届く人と届かない人」を分ける構造を研究し続けてきました。
その知見は、いま国の防災政策そのものを動かしています。
「やっかいな問題」は、ネットワークでしか解けない
菅野さんの研究の核心にあるのは、こんな考え方です。災害復興や人口減少のような課題は、「やっかいな問題(wicked problems)」と呼ばれます。問題をきれいに定義することすらできず、正解を試してみることもできない。行政の階層組織でも、市場のメカニズムでも、単独では解けない種類の問題です。
では、何が解くのか。
菅野さんが東日本大震災の現場を調査して見出した答えは、人と人のネットワークでした。そしてそのネットワークには、多くのつながりが集まる「ハブ」となる人物が必ず存在していた。
ハブとなる人たちには、共通する特徴がありました。
状況をマクロに捉えて、ミクロな部分に陰から働きかける。 自らの利害に執着せず、他者の利益を想像し、"通訳"する。
複数の立場を経験し、私益を求めない。そういう人が結節点になったとき、知識と資源が動き出し、解決策が生まれていく——。実際に復興庁は、このネットワークを活用し、ハブとなる人物を職員として迎え入れることで災害対応を刷新していきました。
島の防災は、「日常の延長」にある
『季刊ritokei』52号のインタビューで、菅野さんは離島の防災について語ってくださいました。
タイトルは「公助の限界を『人の繋がり』で超える──フェーズフリーな島づくりと関係人口の役割」。
そこで示されたのは、こんな視点です。
「公助の限界」の背景には、役所が"暮らしの継続"を苦手としている構造がある。 行政は制度と手続きで動く組織です。だからこそ、一人ひとりの生活が続いていくことを支えるのは得意ではない。離島の防災力・復興力は、日常の延長(フェーズフリー)にある。 災害のときだけ特別なことをするのではなく、ふだんの暮らしのなかにある関係や仕組みが、そのまま非常時の力になる。だから防災は、「島づくり」そのものと切り離せません。
そして、島外から島を支える「関係人口」が、支援を最適化する。 災害時、島の外にいる「島とつながっている人たち」が力になる。そのとき鍵を握るのが、やはり「ハブ」となる人物の存在です。菅野さんはさらに、「持続可能な島と島国をつくるために、スナックが防災の拠点になるのではないか」という視点も投げかけています。人が自然に集まり、顔と名前が結びつく場所——それは災害時に最も強いインフラかもしれない、と。
島の防災は、日本の防災の10年後
「離島の今は日本の10年後」。これは私たち離島経済新聞社が言い続けてきた言葉です。
人口が減り、インフラの維持が難しくなり、公助が届きにくくなる。島がいま直面している状況は、これから多くの地域が向き合うことになる未来です。だからこそ、島で通用する防災のかたちを見つけることには、日本全体にとっての意味があります。
菅野さんが15年間、縁のなかった島に通い続け、そこから学び続けてきたのは、きっとそういうことなのだと思います。島は、困難が先に訪れる場所であると同時に、人のつながりで困難を超える方法が、いちばん見えやすい場所でもある。
だから「災害対応の未来は離島にある」のです。
共創ワークショップに参加しませんか?
10月23日(金)の「未来のシマ共創会議 2026」では、こうした知見をもとに、島の内と外の人が一緒に「本気で解決したい問い」に向き合います。
本会議の核は、こども・交通・防災を軸に6つの島がテーマオーナーとして参加する「共創ワークショップ」となり、その結果が10月23日(金)にTokyo Innovation Base で開催される「未来のシマ共創会議2026」のトークセッションで発表されます。
共創ワークショップの参加者も募集していますので、ぜひ こちらのサイト(Peatix)をご覧ください。
クラウドファンディングへのご支援をお願いします
本会議は大和リース株式会社をはじめ、ビジョンに賛同する共創パートナーのご協賛や参加費により実現しています。このクラウドファンディングでは、運営資金を超えて必要となる、離島から上京するテーマオーナーの旅費や公式ブックの印刷流通費、本会議で生まれたアイデアをより広く社会に届けるために必要な広報費として活用いたします。
1,500円のご支援で、本会議を加わっていただけるとうれしいです。
👉 クラウドファンディングページはこちら https://for-good.net/project/1004074
👉 未来のシマ共創会議 2026 の詳細はこちら https://ritokei.com/campaign/co-creation