10月23日(金)の【共創ワークショップ・問い①】は兵庫県・家島から届いた「空き家のサブリース収益で自走できる『離島留学モデル』をつくるには?」です。
テーマオーナーは、2011年に大阪から家島へ移住した中西和也さん(一般社団法人はりまのいばしょ/いえしまコンシェルジュ株式会社)。かつて8,000人が暮らした島は、いま約2,000人。増え続ける空き家をどう活かすかが問われています。
家島の「問い」 https://ritokei.com/forum/shimakaigi2026_theme01_ieshima
リトケイはこれまで、様々な島の空き家活用の取り組みを取材してきました。10月23日の議論を深めるために、過去のアーカイブから4つの事例をご紹介します。どれも、家島の問いに対するヒントを含んでいます。
①【佐渡島】空き家調査が、次の使い手を連れてくる

新潟県・佐渡島。地域おこし協力隊として着任した熊野礼美さんは、2015年の空き家調査の最中に一軒の古民家と出会い、その場で「ここをシェアスペースにしたい」と決めました。
購入費20万円、改修費約270万円。協力隊の起業補助金とUIターン者向け補助金を活用し、翌年開業。2時間2,000円で貸し出し、イベントごとに「日時限定のオーナー」が登場するかたちで、ほぼ毎週末なにかが起きる場所になりました。
家島への示唆:空き家調査そのものが、担い手発掘の場になるという発見です。物件リストをつくって待つのではなく、調査に人を巻き込む過程で使い手が生まれる。留学生の受け入れ家庭を探す局面でも応用できそうです。
▶ https://ritokei.com/pickup/kikan27_sado
②【伊是名島】改修が、島の人の意識を変えた

沖縄県・伊是名島。2005年に島の若者10人で設立されたNPO法人「島の風」は、古民家を再生し一棟貸しの宿として運営しています。
1棟あたり改修費は約500万円。NPOメンバー自身が施工して費用を抑え、宿泊運用益の一部、家主からの資金提供、そして2016年のクラウドファンディング110万円を組み合わせました。現在は4棟を運用し、夏場は満室。清掃やリネン、草刈りで地元の雇用も生んでいます。
けれど代表が最も大きな成果として語るのは、収益ではありません。「島の人の意識が変わり始めたこと」。島民が自発的に自宅を修復しはじめ、ごみのポイ捨ても減った。「地域は、そこに住んでいる人の気持ちによって形作られる」という言葉が印象的です。
家島への示唆:空き家活用は、島の側の誇りを取り戻す装置にもなる。留学生を受け入れることは、島が自分たちの価値を再発見することでもある——中西さんが神戸の中学生の滞在で感じたことと、まっすぐつながります。
▶ https://ritokei.com/pickup/kikan27_izena
③【公共R不動産】「誰が、何に使いたいか」が決まっていると、話が進む

公共空間活用の専門家・公共R不動産への取材からは、合意形成の勘所が見えてきます。
この10年で全国5,000校以上が廃校となり、離島では統廃合で複数校が一度に休眠状態になることも。活用の最大の壁は、住民にとって「思い出が詰まった場所」であるという感情です。
打開のポイントは2つ。ひとつは、地域外の「よそ者」視点が建物を新しい可能性として見直すきっかけになること。もうひとつは、「誰が、何に使いたいか」が具体的に定まっていると住民合意が得られやすいこと。鳥取県智頭町では、移転先を探していたパン屋が地域循環型経済を目指す姿勢を示したことで、地域の共感が集まりスムーズに事が運びました。
家島への示唆:空き家所有者の説得は、この問いの最大の関門かもしれません。「空き家を貸してください」ではなく「この島で学びたい子どもがいます」と伝えられるかどうか。サブリースの契約設計と同じくらい、この語り方の設計が重要になりそうです。
▶ https://ritokei.com/pickup/kikan26kyuminkukantop
10月23日、話してみたいこと
4つの事例から、ワークショップで議論を深めたい論点が浮かび上がってきます。
- 収益の束をどう組むか:サブリース差額だけで自走できるのか。宿泊・交通・体験など、志々島のように複数の柱を組み合わせるべきか
- 改修コストをどう抑えるか:伊是名島のセルフ施工、佐渡の補助金活用。家島ではどんな組み合わせが可能か
- 所有者に、どう語るか:「空き家対策」ではなく「子どもの学びの場」として伝えたとき、話はどう変わるか
- コーディネーターの仕事を、どう定義するか:差額で雇われるその人は、具体的に何をする人なのか
- 島の側の変化も、成果に数えられるか:伊是名島のように、島民の意識変化をどう可視化するか
もちろん、これは叩き台にすぎません。不動産・建築、リモートワーク推進、引越し物流、教育支援——さまざまな専門をお持ちの方が加わることで、まったく別の道筋が見えてくるはずです。
ワークショップへのご参加はこちらのサイト(Peatix)をご覧ください。
クラウドファンディングへのご支援をお願いします
この会議を実現するため、私たちは8月末までクラウドファンディングに挑戦しています。いただいた資金は、共創ワークショップの運営費、アーカイブ動画の制作費、成果をまとめた公式ブックの発行費などに使わせていただきます。1,500円からご支援いただけます。
15年間、島の現場を取材してきたアーカイブが、いま新しい挑戦の土台になっています。その積み重ねを、次の一歩につなげさせてください。
👉 クラウドファンディングページ https://for-good.net/project/1004074
👉 共創ワークショップの詳細・申し込み https://ritokei.com/campaign/co-creation
👉 特集「島に福よぶ空き家活用」(『季刊ritokei』27号) https://ritokei.com/pickupindex/ritokei27_akiya