こんにちは。田川教育振興財団設立プロジェクト事務局の髙木です。
今日の活動報告では、私が1年半ほど続けているフリースクールについて、始めたきっかけと、やってみて考えが変わったことをお話しします。
学校に来なくなった中学生のこと
フリースクールを始めたきっかけは、以前関わっていた中学生が、ある日突然、学校に来なくなったことでした。
学校に来ない日、その生徒は何をして過ごしているのだろう。家にいるのかもしれない。ゲームをしているのかもしれない。スマホを見ているのかもしれない。それ自体が、必ずしも悪いことだとは思いません。
ただ、13歳から15歳くらいの時期に、家族以外の人と関わる機会がほとんどなくなってしまうことは、大丈夫なのだろうか。そう考えるようになりました。学校には行けなくても、「ここなら来てもいい」と思える場所をつくれないだろうか。それが、フリースクールを始めた理由です。
ハードルの低い「学び」が必要なときもある
実際に始めてみると、いわゆる「学校」とはかなり違います。たとえば、こんな一日です。
- 朝10時に集まり、まず20〜30分ほど歩く。川へ行って、魚を見たりする
- 少し休んでから、勉強をする(20〜30分の日もあれば、1〜2時間の日もある)
- お昼ご飯を食べて、ゲームをしたり、話をしたりして、一日が終わる
学校に行くのがつらくなった生徒にとって、こうした「ハードルの低い学びの時間」が必要だと、直感的に感じていました。
しかし、それをやりながら、「これは本当に学びなのだろうか」と思うこともありました。時間割も、決まったカリキュラムもない。ずっと机に向かっているわけでもない。これを「学び」と呼んでいいのか、と。
1年経って気づいた、「学び」の広さ
1年やってみて、考え方が少し変わりました。私は今、「学び」をもう少し広く考えてもいいのではないかと思っています。
- 家族以外の大人と話すこと
- 自分とは違う考え方を持つ人と出会うこと
- 普段は行かない場所に行ってみること
- 誰かと一緒に何かをやってみること
- 川の中に大きな魚を見つけて一緒に喜ぶこと
こうしたことは、すべて学びになり得ると思います。特に学校に行けていない子にとっては、「勉強をすること」だけでなく、「人と関わること」そのものが大切です。家族以外の誰かと話す。大人と話す。違う世代の人と関わる。そういう機会があることは、やはり大事だと感じています。
多様な大人がいる環境、いいかねPalette
ここに、フリースクールを「いいかねPalette」で行っている意味があります。
いいかねPaletteは、いわゆる学校ではありません。地域の人、仕事で来る人、クリエイター、学生など、いろいろな人が出入りする場所です。つまり、そこには「多様な大人」がいます。
子どもがそこで過ごしていると、「この人はこういう仕事をしているんだ」「大人って、みんな同じじゃないんだ」ということに、自然と触れることができます。特別な授業やキャリア教育という名目がなくても、さまざまな大人がいて、その姿を見たり話したりする。それだけで、子どもにとっては一つの学びになると思います。
地域の中に「小さな学びの場」を増やす
学校には学校の良さがあります。それでも、学校に行けない時期がある子どもにとっては、学校以外の場所にも学びの環境があっていいはずです。
その環境は、大きなフリースクールである必要はないと思っています。家庭教師くらいの規模でもいい。子どもが数人いて、大人が一人いて、そこに地域の人が時々関わる。そんな小さな場所が、地域のあちこちにあってもいい。
これまでの私は、活動を始めると、どうしても「もっと大きくしよう」と考えていました。でも、一人の頑張りだけで続けるのは難しいのです。だから今は、大きくすることよりも、小さくても続くこと、そして小さな学びの場所が地域の中にいくつもあることのほうが、地域全体としては強いと考えています。
社会のインフラとして支える仕組みへ
もう一つ考えなければいけないのは、こうした場所を、誰か一人の「やりたい」という気持ちだけで続けていいのか、ということです。
この1年間で、子どもが外に出るようになり、家族以外の大人と話すようになる変化を見て、活動の意味を確信しました。一方で、それを個人の負担だけで続けるのは違うとも思っています。
こうした場所が社会に必要なのであれば、税金や補助金、地域からの支援など、社会全体で支える仕組みがあっていい。フリースクールを「困っている人を助けるための特別な活動」ではなく、地域の中にある「学びのインフラ」として考えてもいいのではないか。今はそう考えています。
答えのない「実験」を続けていく
もちろん、私自身まだ答えを持っているわけではありません。やってみて、失敗して、考え直して、また試している途中です。
ただ、子どもに必要なのは、「学校か、家か」という二択だけではないはずです。その間に、いろいろな人と出会い、経験できる場所があってもいい。多様な人が集まるいいかねPaletteだからこそ、できる学びの可能性があると思っています。だから私は、ここでもう少し、この実験を続けてみます。
小さくてもいい。完璧でなくてもいい。一人の子どもが「ここに来てもいい」と思える場所が、地域の中に少しずつ増えていく。そんな地域のほうが、きっと生きやすいのではないでしょうか。
田川教育振興財団の設立は、こうした場所を地域全体で支えていくことにも、つながると考えています。引き続き、クラウドファンディングへの応援をよろしくお願いします。