移植と海中旅行実現
「おかん、やっぱり肝臓ちょうだい」母の肝臓を移植し肝硬変と闘いあと10年生きたい
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2026/1/23 12:00
Episode08|受け取る覚悟
――母の命の一部の前に、立ち止まった日
「やっぱり、肝臓ちょうだい」
私は、そう話をしました。
こういう時、なんて言えばいいのか。
随分悩んだ末に、出てきた言葉はそれだけでした。
母は、少しも迷う様子もなく、
「元々、そのつもりやで」
そう言いました。
今さら何を言ってるの、というような表情でした。
私は、決死の覚悟で葛藤し、
勇気を振り絞ったつもりだったのに。
その温度差に、胸の奥をぎゅっと掴まれるような感覚を覚えました。
「ああ、この人は、私がどう言おうと、どう拒もうと、
最初から肝臓の一部を差し出すつもりだったんだな」
生体肝移植。
言葉としては理解していたはずなのに、
それが“自分と母の間で起きること”だと実感した瞬間、
意味の重さがまったく違って見えました。
それは、医療上の選択肢の一つであると同時に、
誰かの命の一部を受け取って生きるという現実でした。
簡単に選べるものではありません。
理屈だけで割り切れる話でもありません。
これまでの人生、
多くの人に支えられて生きてきました。
感謝しているつもりでも、
どこかで私は、
「自分で選び、自分で決めてきた人生」
だと思い込んでいたのかもしれません。
母にその一言を告げた瞬間、
その前提は、静かに崩れました。
生きるということは、
決して自分一人のものではない。
そして今、実際に母の身体の一部を受け取ろうとしている。
「もう、一人で生きているなんて言えない」
そう、はっきりと感じました。
エピソード04で書いた、
あの時の自分を思い返すと、
今でも胸が痛みます。
自分で生まれ、自分で死ぬことを
運命だと決めつけ、
向き合うことから逃げていた自分。
でも、今は違います。
未来への光は、まだ強くはないけれど、
確かにそこにあります。
ただ、
そこへ向かって進めばいい。
そう思える自分が、
ここに立っていました。
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