カンボジアの子ども
貧困の連鎖を止める「誰も取り残さない教室」をカンボジアにつくりたい!
みんなの応援コメント
やまげん
2023年11月23日
ほんの少しですが、力になれればと。応援しています!
yaaya
2023年11月23日
基本的なプロジェクト!是非実現させて!
FOR GOOD
プロジェクト実行者が支援金を全額受け取れるよう、支援者さまからのシステム利用料(220円+決済手数料5%)により運営しています。
SALASUSUが培ってきた学びをカンボジア全体に広げていく。ELI事業部・須藤菜々子インタビュー
2023/11/22 10:30
SALASUSUには、工房で培ったライフスキルトレーニングをカンボジア全体に広げるELI(Education Learning and Impact)という部署があります。カンボジアの教育を取り巻く現状を見てきたELI事業部責任者の須藤菜々子に、これまでの取り組みと実験校に期待することを聞きました。
須藤菜々子(すどう・ななこ)
東京大学在学中からSALASUSUの前身であるかものはしプロジェクトのインターンとして活動し、大学院卒業後カンボジアへ。工房でつくり手のケアとトレーニングを担当した経験をもとにELI事業を担う
誰もが可能性を感じて生きていける社会をつくりたい
――まず、ELI事業について教えてください。
SALASUSUは、人生を主体的に生きるための力を「ライフスキル」と定義し、問題解決・自己管理・基礎リテラシー・自信・職業倫理・対人関係という6つの項目を伸ばすトレーニングを実施しています。最初は工房の作り手女性たちに向けたものでしたが、徐々にカンボジア内のNGOや企業から依頼をいただくようになり、工房外にもライフスキルトレーニングを提供するようになりました。
こうした実践がカンボジアの労働職業訓練省からも評価され、2021年からはカンボジアの職業訓練校で働く先生を対象としたトレーニングを担いはじめました。2023年からは教員養成大学とその附属公立小中学校にもトレーニングを提供しています。
――カンボジアの教育現場はいまどういう状況なのでしょうか。
カンボジアは1975年から79年の4年間、クメール・ルージュにより学校教育が停止され、教師の75%が殺された歴史を持っています。ポル・ポト政権が倒れた後、人材も仕組みもノウハウも失われたなかで再出発しなければいけませんでした。いま学校教育を担っている/これから担おうとしている先生たちは、本当に苦労しながらなんとか勉強してきた方々です。教育や学びに対する熱意をすごく持っている。でも、お手本となるような教育を自分自身が受けてこなかったから、先生としてどうあるべきかもがいているように感じます。
――一般的に行われている授業はどういったものですか?
先生によって様々ですが、教科書の内容をとうとうと語り、教科書に書かれていることを生徒に質問し答えさせるような授業が多いですね。「○○の定義を3つ答えなさい」とか。「こんな見方や考え方があるんだ」という驚きや、自分の暮らしや経験に結びつけて探究していくおもしろさといった深い学びになりづらく、知識として覚えることに注力した授業が多い印象を受けます。
――そうした状況のなか、トレーニングを提供するときに大事にしていることはありますか?
まず、「私たちの考えだけが正解ではない」という認識は忘れないようにしています。先生はしっかりと教科書を読み込んで授業を行っているし、生徒は先生の話を真剣に聞いている。そうしたカンボジアならではの良いところに目を向けつつ、先生たちがどんな教育をめざしたいのかを大事にして、一緒にそれを探究していこうというマインドで取り組んでいます。
授業研究(授業後に先生たちと行う振り返り)のときも、先生たちが行った授業を批判するようなことはせず、「今回の授業で生徒は何をどう学んだのか」を問いかけるようにしています。先生たちが常に「授業を通して生徒に何を持って帰ってもらうか」という視点を持っていれば、より良い授業になると思うんです。
――手応えを感じるのはどんなときですか?
SALASUSUのカンボジア人トレーナーが先生たちのトレーニングを行っているのですが、授業研究のときに生徒を見る視点がどんどん深くなっているなと感じています。最初は「生徒が手を挙げていたかどうか」といった表面的な話が多かったのが、「あの生徒は一見授業についていけていないように見えたけど、実はこんなおもしろい感想をつぶやいていた」「生徒同士でこんな会話をしていた」「ちゃんと問いを持つ力を持っているんだ」と、生徒一人ひとりをしっかり見て細かなところに気づけるようになっていく。そういうところに希望を感じるし、トレーナーと先生が生徒の姿から共に学ぶ練習を通じて、授業が本当の意味でライフスキルを育んでいく場所になっていくと信じています。
――2024年1月にプレオープンするSALASUSU実験校に期待することはありますか?
外部の先生たちが気軽に実験校を訪問して学びの様子を見たり、授業研究大会を開いたりできるといいな、と思います。先生たちが「こんな授業ができるんだ」と希望を抱く場、より深い学びが生まれる場になると嬉しいですね。
私たちの活動をわかりやすい言葉にすると「カンボジアの教育改善」と言うのかもしれないけど、決してカンボジアだけの問題ではないし、私を含め一人ひとりの生き方につながる話だと思っています。これからどんな社会をつくっていきたいか、子どもたちにどう育っていってほしいかを考えて、トライしていく。カンボジアの人たちを助けようとしているんじゃなくて、一緒に希望ある側面をつくろうとしている、と言ってもいいかもしれない。実験校もそのひとつと捉えています。
――須藤さん自身の生き方とはどうつながっているのですか?
私はもともと、友人を事故で亡くし、人の命や可能性が途中で奪われる重さを感じた経験から「誰もが可能性を感じて生きていける社会をつくりたい」と願うようになり、かものはしプロジェクト(現SALASUSU)に参画したんです。ELI事業も実験校もその想いと重なっているから、取り組む意義を感じています。
もうひとつ、縁も大きいかな。私はカンボジアに来て、日本にいるときに縛られていた「こうあるべき」という固定観念から解放されたんです。損得勘定なしに助けてくれる人の良さとか、「大雨のときは危ないから無理せず家にいよう」というゆるさとか、自然体で受け入れてくれる温かさとか……カンボジアの人たちのそういうところに触れるなかで肩の力が抜けていきました。私をのびのびさせてくれたこの国に縁や恩を感じているから、この国の人たちが願う姿に寄り添って、一緒に取り組んでいきたいと思っています。
(インタビューここまで)
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クラウドファンディングもいよいよ残り2日となりました。現在の達成率は81%、あともう少しのところまで来ています。「誰もが可能性を感じて生きていける社会をつくりたい」という想いに共感してくださったら、ぜひ応援していただけると嬉しいです!
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