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プレオープン1期、無事終了しました!

2024/2/22 01:00

いよいよ最後の活動報告となりました。前回に引き続き、今回もSALASUSU実験校教頭・後藤愛美がお届けします。




2024年1月30日、実験校のプレオープン1期が終了しました。ものすごく濃密な3週間で、いまはスタッフ一同、「なんとか走り切れた……」と抜け殻のようになっています。良い面も悪い面も、いろいろなことが見えた3週間でした。




前回活動報告を行ったのは開校から1週間が経った頃でした。最初の週はとにかく毎日の授業を回していくのに必死で、ある意味ハイになっていた部分もあったと思います。2週目からは慣れてきた分、小学生に授業を提供する難しさを痛感しました。


すぐに集中力が切れてしまい、問題に向き合うことが難しい。どんなに資料を工夫しても読んでもらえない。授業が成り立たず、いい学びが生まれている実感もない。先生たちも私も「一体どうすればいいんだろう」と頭を抱え、まさに暗中模索という言葉がぴったりの日々。正直に言うと、「もう早く終わってほしい」と思ってしまったこともありました。


でも、2週目の終わりから3週目にかけて、教師と生徒の間に信頼関係が生まれはじめ、ほんの少しですが変化の兆しが見えてきたのです。



たとえば国語の授業では、文章を読む時間、読んで感じたことを共有する時間を設けているのですが、子どもたちは最初「文字を目で追っているけれど、文章として理解はしていない」状態で、感想なんてまったく出てきませんでした。それがだんだんと、文章に線を引いたり丸で囲ったりと自分なりに理解しようとしている姿が見られるようになり、隣の子や先生になら感想を話せるように。最終的には、教室のみんなに向かって自分が感じたことを話せるようになった生徒もいました。



算数の授業でも、生徒たちが「問題を解きたくて解きたくてたまらない」といった様子で目の前の問題と格闘する姿を目にするようになりました。ほかの生徒に「これどう計算したの?」と聞いたり、何度も計算して先生に見せたりと、まるで宝探しをしているかのよう。




とくに印象的だったのは最後の美術の授業です。カンボジアの小学校では美術が教えられることはほとんどありません。3週間でいくつか画法を教え、最後の授業ではそれらをまとめた資料を渡して「これまで学んだことを振り返りながら、自分が描きたい絵を描こう」というお題を出しました。


席は4人で1グループ。あるグループではそのうち3人が同じようなリンゴの絵を描いていました。でも、残りの1人は「じゃあ私も」と流されることなく、吹き流しという画法を使い黙々と絵に向き合っていたのです。その生徒は読み書きが苦手で、国語や算数の授業ではかなり苦戦していました。そんな彼女が、自分がやりたいと思うことを大事にして、心から没頭している。はにかみながら、自分の絵を隣の生徒に見せている。そうした瞬間を生み出すことができて、本当によかったと思いました。



また、作り手と小学生の混合クラスではおもしろい化学反応が起きていました。このクラスでは作り手が教師のように教えてしまうことがあり、最初の頃は「子どもたちが自ら学ぶのを妨げてしまうかも」と心配していたのですが、実は作り手も間違っていて、教えるうちに「あれ、違うかも?」と気づいて考え直し、その様子を見ながら小学生も「間違ってもいいんだな」と安心して自分でまた考える……という光景が生まれていました。まさに“学びの支え合い”と言うべき光景です。


実を言うと、授業を始める前は混合クラスに対する懸念もありました。お互いに緊張して発言しにくくなったり、自分よりだいぶ年下の子と一緒に学ぶことに作り手が恥ずかしさを感じたりしないだろうか……と。でも、いざやってみると、生徒たちは年齢差を気にすることなく一緒に問題に立ち向かったり教え合ったりしていて、「大人と子どもってこんなふうに一緒に学べるんだ」という嬉しい驚きが上回りました。お互いに良い影響を与え合えたのではないでしょうか。今回の挑戦を通して、世代や背景が異なる生徒が一緒に学ぶことに対し、大きな可能性を感じました。



教師たちはこの3週間、本当にがんばってくれたな、と思います。授業の後に自分の教え方や生徒の様子を振り返る授業研究では、「今日の授業であの子は資料を読むのに躓いていたから、もう少し工夫が必要かもしれない」と、これまでよりも深く授業を振り返り、素早くPDCAを回していました。



子どもたちへの愛情も深く、最終日にトラックに乗って帰っていく子どもたちに手を振る姿は親のよう。小学生に教える難しさ、大変さをこれでもかと痛感した上で、「またトライしたい」と言ってくれました。教師としての責任感と喜びをたっぷり感じてくれたのではないかと思います。



客観的に授業を見るとまだまだ「良い学びが生まれていた」と胸を張って言うことはできないし、改善点は数え切れません。でも、ほんの少しでも変化の兆しが見えたこと、そして先生たちがそれを見逃さずきちんと把握できていたことに、希望を感じました。今回は3週間という短い期間でしたが、もっと時間があれば、より変化を生み出せていたに違いありません。


何より嬉しかったのは、子どもたちが最終日に「明日はもう授業ないの?」「もっと勉強したいのに」「またやるなら来たい」と言ってくれたこと。子どもたちの「学びたい」という気持ちに応えられる実験校でありたい、と強く思いました。



一方で、悩みが深まった点もあります。実験校では課題に取り組む際、周囲の友達にいつでも相談していいよ、という授業スタイルを取っていますが、カンボジアの公立小学校は教師の話を黙って聞くスタイルが一般的です。「実験校の授業を楽しんでくれた子たちは、公立学校に戻って迷ってしまうのではないか。どうしたらいいんだろう」ーーカンボジア人教師のひとりがしてくれた問題提起に、「本当にそうだ」と思いました。実験校のあり方を考える上で、とても大事な視点です。


SALASUSUの実験校は、今の段階では公立学校を支える補習校という位置付けです。公立学校から生徒を奪いたいわけではありません。一番大事なのは、子どもたちにとって良い学びの時間が少しでも多く増えていくこと。そのためには、地域との連携が不可欠です。


今回は地域の公立学校の教師たちが最終日に実験校の授業を見学に来て、「こういう授業もおもしろいね」と興味を持ってくださいました。こうした交流の時間をもっと増やしていきたい。私たちが行っていることで参考になるものがあれば取り入れていただきたいし、私たちももっとカンボジアの文化や現場の教師たちの想いを理解していく必要があります。お互いの学校を行き来して対話し、学び合えたらと思っています。



なお、1期の開校中、クラウドファンディングのリターンである「オンライン授業参観」を行いました。また、「まるごと応援コース<100万円>」を選んで支援してくださった方が、カンボジアまで実験校を見に来てくださいました。


みなさんの支援によって生まれた学びの場を見ていただけたこと。関心を持って質問してくださったこと。「生徒がひたむきに学ぶ姿からエネルギーをもらった」と言ってくださったこと。小学生に授業を提供する難しさに悩んで途方に暮れていた時期だったので、とても励みになりました。


「誰も取り残さない教室」の実現をめざしているのは私たちだけじゃない。多くの人が私たちの挑戦を応援し、一緒に歩んでくださっている。改めてそう感じて、前を向く力をいただきました。本当にありがとうございました。


クラウドファンディングページでの報告は今回が最後となりますが、SALASUSUのSNSでは引き続き実験校の日々をレポートしていきます。2025年の正式開校に向けて複数回トライアルを行っていくので、見守っていただけると幸いです。


そして、いつかぜひ、SALSUSUの実験校を、みなさんと一緒につくった「誰も取り残さない教室」を見に来てください。


お会いできる日を楽しみにしています。


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