カンボジアの子ども
貧困の連鎖を止める「誰も取り残さない教室」をカンボジアにつくりたい!
みんなの応援コメント
やまげん
2023年11月23日
ほんの少しですが、力になれればと。応援しています!
yaaya
2023年11月23日
基本的なプロジェクト!是非実現させて!
FOR GOOD
プロジェクト実行者が支援金を全額受け取れるよう、支援者さまからのシステム利用料(220円+決済手数料5%)により運営しています。
SALASUSUの学校で働く教師ってどんな人? インタビューをお届けします!
2023/11/1 17:30
今回は活動報告として、SALASUSUの学校で働くカンボジア人教師たちを紹介します。
SALASUSUの工房では、基礎的な読み書きや計算を身につけないまま学校をドロップアウトしてしまった10代〜20代の女性に向けて、国語や算数などの教科学習やライフスキル教育を提供してきました。2024年1月にプレオープンする実験校では、小中学校に通う子どもたちも受け入れ、本格的に授業を提供していきます。
教師たちのなかには、「まさか自分が教師になるなんて思わなかった」という人もいます。どんな想いで生徒に向き合っているのか、5人の教師に座談会形式で語ってもらいました。
カンボジア人教師5人の自己紹介
――まずは自己紹介を兼ねて、SALASUSUに入る前の仕事と、休日の過ごし方を教えてください。
チャンナ(37歳) 担当科目:算数
SALASUSUの前はNGOで青少年向けの教育に携わっていて、さらにその前はテレビ局の編集アシスタントをしていました。SALASUSUには生産部門のスタッフとして入職し、一部のトレーニングを担当していた時期もあります。最近本格的に教育に取り組むことになったので、まだ「自分は教師と名乗ってもいいのかな」という感じです。
休日はハウスワークでめちゃくちゃ忙しいです。どうしてかというと、牛や豚、鶏を何匹も飼っているから。彼らが食べる草を刈ったり餌をあげたりしていると1日が終わります。
チョモラン(31歳) 担当科目:ライフスキル、アート
日系の財団で働いていましたが、団体がカンボジアから撤退することになり2014年にSALASUSUに転職しました。最初は販売スタッフとしてお店に立っていたけど、2019年から部署を移り、工房で働く作り手のトレーニングやカウンセリングを担当するようになり、いまはスクールチームに所属しています。
5人姉妹で、休日は家族と時間を過ごしています。料理をしたり、旅行に行ったり、写真や映像を観ることも好きです。
セイハ(27歳) 担当科目:ライフスキル、アート
2021年にSALASUSUに入社する前は、中華料理店で接客をしていました。最初にSALASUSUに入ったときは販売スタッフでしたが、次第に工房で働く作り手のトレーニングやカウンセリングを担当するようになりました。
週末は家族、特に8歳の息子と過ごすことが多いです。料理や掃除も好きだし、歌や踊りも大好きです。息子が踊って私が歌います。旅行が好きで月に1〜2回息子と出かけていますが、本当はもっと行きたいなと思っています。
レン(26歳) 担当科目:国語
2018年にSALASUSUの販売スタッフになり、2021年からスクールチーム・ツアーチームに入りました。ライフスキル教育やカウンセリングも担当しています。
映画が好きで、韓国やタイ、ときどき日本の映画も観ます。週末は服を洗ったり、おばさんが料理を作るのを手伝ったり。元気があるときは地元に帰って家族に会います。ちなみに、日本語学校で勉強したので日本語ができます。
サヴー(29歳) 担当科目:算数
日系の財団のインターンシップ生としてコンピューターと英語を学んだ後、奨学金を貰って4年間大学に通いました。その後、シェムリアップの空港でスタッフとして働いていましたが、2022年にSALASUSUに転職しました。
7人兄妹の3人目で長女です。結婚しています。週末は音楽を聴いたり歌ったり、眠るのも好きです。あと、おじいちゃんおばあちゃんに会いに行ったり……楽しく過ごしています。
自分が子どもの頃、授業についていけないときは怖かった。だからいま、生徒たちをサポートしたいと思っている
――教師になってみてどうですか? どんな工夫をしていて、どんなときに喜びを感じる?
レン:私はもともと教師になりたかったんです。実は、SALASUSUに入ったのも工房で教師ができると思ったから。だから、販売スタッフにアサインされたときはちょっとびっくりした(笑)。
いまは念願の教師になれたけど、授業や教材を開発することも、生徒たちがちゃんと学べているか汲み取ることも、クラスの状況に合わせてファシリテートすることも、全部新しいスキルが必要ですごく難しいなと思っています。どう教えたら生徒に伝わるか、ほかのメンバーに相談したりしながら進めています。生徒が楽しそうに学んでいるときは私も楽しいし、このメンバーで分かち合ったり、ディスカッションしたりする瞬間に幸せだと感じます。
サヴー:学生の頃、進路の希望を聞かれても何も思い浮かばなかったけど、「教師になりたい」と答える友達が多かったから自分もそう言っていた気がします。カンボジアの学校は二部制だから半日しか働かなくていいし、教師って楽で簡単な仕事だろうと思っていたんです。
でも、実際はすごく大変でした。授業の準備はもちろん、生徒がどうしたら学べるか、ハッピーになるかを考えないといけないし、やることはむちゃくちゃあります。生徒からの質問にどう答えるか、どう授業をアップデートしていくか。教師という仕事は、自分で大きなビジネスをしたり、銀行に大口口座を開いたりするわけではないけれど、教師から学んだ誰かが世界を拓いていくかもしれない。そんな意味のある仕事なんだなといまは思っています。
チョモラン:正直教えるのはそんなに好きじゃないし、先生になりたいと思ったこともありませんでした。ただ、昔から人に何かを教えるのは得意だった気がします。たぶん、「大勢の前に立って教える」ことに抵抗があったんじゃないかな。SALASUSUで1人ひとりに合わせたトレーニングを提供したり授業をつくったりする経験をして、「自分にはこれが合っているんだ」と気づきました。
授業をすると、生徒のことだけでなく、自分自身のこともよくわかります。自分がどう考えているか、どう言葉を選んでいるか。自分のことを深く理解して、相手にどう伝えるかをよく考えます。同じ課題でも毎回アップデートする必要がある。それはとても難しいけど、毎回新しい挑戦があるからおもしろくもあります。同じことを繰り返すのは好きじゃないんです。だからここで長く働けているんだと思います。販売スタッフをしていたときは何度も辞めようと思いました(笑)。
サヴー:私もSALASUSUで働いて、考え方が変わりました。というよりも、変化している最中かな。これまでは誰かの話を聞くときに、自分と意見が同じか違うかという点をジャッジしていました。いまは生徒の話を聞くことが多いので、相手の意見や気持ちを受け止められるようになってきています。
チャンナ:僕は算数の教師にはいい思い出がないんです。7の掛け算ができなくて叩かれたから。でも、皮肉なことに算数の教師にアサインされてしまった(笑)。実際に授業をしてみると、生徒は難しそうにしていました。でも、その姿が過去の自分と重なって、彼らに学んでほしいし、学ぶことを楽しんでほしい、と強く思いました。わからない気持ちがわかるから、この仕事の意義を感じたんです。計算能力があると悪い人に騙されにくくなるし、大事な教科だと思っています。
レン:私も算数の先生に耳を引っ張られたことがあったな。
サヴー:ジャッジされている感じがしていた。「なんでこんなこともわかんないの」って。
チョモラン:私も子どもの頃、先生がすごく怖かった。間違えると罰が待っているから、怖くて答えを言えなくなる。先生が生徒を当てようとしているときは、顔を隠していました。
――そういう体験を踏まえて、いま教師としては、授業についていけない生徒がいるときどう感じますか?
セイハ:自分の体験を思い出すと、そういうときはすごく怖かったし、先生のサポートがほしかった。だからいまは本当に生徒たちをサポートしたいし、困っていたら積極的にヘルプを求めてほしいと思っています。
――生徒たちは自分からヘルプサインを出してくれますか?
セイハ:最初の頃は生徒たちもわからないことを隠していたから、こちらから何に困っているかを考えて、「ここが難しいの?」と具体的に声をかける必要がありました。最近はヘルプを求めることに慣れてきたのか、正直に相談してくれますね。そういう変化を見るとうれしくなります。
チョモラン:私もずっと不正解やわからないことは隠すものだと思っていたけど、隠さなくてもいいんだと思えるようになりました。私たちの生徒がわからないことを正直に言えるようになったのは、ここに心理的安全性があるからじゃないかな。大事なのは「問題の答えが合っているか間違っているか」じゃなくて、その過程でどう考えたか。だから、生徒から「先生、これで合ってる?」と聞かれたときは一緒にその問題を振り返り、考えてもらうようにしています。
レン:自分が授業についていけなかったときにどう感じていたか振り返ると、「一緒にいられない」という感じがしていました。だから、「この子はついていけてないのかも」と思うと、一対一でカウンセリングをしています。もしかすると、クラスではなく家のことで何か困っているのかもしれない。そういうことも含めて聞き取って、授業の時間以外でも生徒にとって近しい存在でいられるように、クラスの中を安全に感じてもらえるように心がけています。
(座談会ここまで)
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教師としてはまだまだ成長途上の5人。でも、生徒たちのことを真剣に考えて、いい授業をつくろうと日々奮闘しています。温かい目で見守っていただけるとうれしいです。引き続き、応援よろしくお願いいたします!
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