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やまげん

2023年11月23日

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yaaya

2023年11月23日

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生徒が満面の笑みで「難しかったー!」と話す姿に希望を感じる。SALASUSU実験校教頭・後藤愛美インタビュー

2023/11/9 15:30

「誰も取り残さない教室」の実現をめざすSALASUSU。現在は、基礎的な学力を身につけないまま小中学校からドロップアウトせざるを得なかった女性たちを0期生として、国語や算数などの授業を提供しています。授業ではどんなことが起きているのでしょうか。今回は、SALASUSUの実験校で教頭を務める後藤愛美のインタビューをお届けします。


後藤 愛美(ごとう まなみ)


1989年大阪生まれ。国際基督教大学を卒業後、コンサルティング会社を経て2016年にかものはしプロジェクトに参画。工房の作り手女性たちのキャリア支援や団体の広報活動を行ってきた。2024年1月にプレオープンするSALASUSUの実験校では教頭を務める



「がんばりきれた」経験が、自信や意欲につながれば


――0期生の教育的背景や学力にはかなりばらつきがあるようですが、どんな風に授業を行なっているのですか?


「全員が自分のペースで学び続けられること」を大事にしています。分数の単元を例に挙げると、45分から60分ほどの授業の中で、ペースの遅い子は「2分の1ってどういうこと?」といった簡単な資料を読み分数の概念をなんとなく掴む。ペースの早い子は通分のやり方を学び練習問題を解く。同じ課題の中で、学びの量や内容は違っても全員が何かを学び取っている、そんな授業をめざしているんです。教師たちはそのために多様な補助教材を準備し、授業では生徒をよく観察してフォローしています。



――手応えは感じていますか?


最近、授業が終わった後に「難しかったーーー!」と満面の笑顔で話してくれる子が結構いて、それがすごくいいな、と思うんです。難しくてわからなくても、資料を読み込んで、仲間と支え合って、あきらめずに最後までがんばって取り組めたということそのものが、すごく意味があることなんですよね。彼女たちが問題に向き合う姿は本当にエネルギーに満ちていて、「難しかったーーー!」という言葉に、ある種の“やりきった感”を感じます。


そして、わからない中にもほんのちょっとだけ「できた」「わかった」という瞬間があると、彼女たちは「そういうことか!!」「わぁ答え合ってる! いえーーーい!!」って全身で喜びを爆発させるんです。そういう瞬間をたくさんつくっていきたい。「がんばりきれた」経験が、彼女たちの自信や「困難に見えることにもトライしてみよう」という意欲につながっていくといいな、と思っています。



――授業を通して大きな変化があった生徒はいますか?


1年ほど前に入ってきた19歳の子がいます。学力としては、文章は一文字ずつゆっくりなぞりながらなら読むことができて、二桁の引き算は少し時間がかかる、くらい。物静かで口数や表情が乏しく、授業に参加しようという意欲もあまり見られなかったので、教師たちも「彼女が学ぶためには何が必要だろう」と気にかけていました。最近、その彼女がよく喋るようになって、表情も豊かになってきたんです。


たとえば分数の授業で「コップに水を移してそれが2分の1か3分の2か確認する」というワークをしたときは、前のめりになって熱心にコップを見つめていました。1年前だったら、椅子にもたれて横目で見るだけだったはず。あんないい笑顔は初めて見ました。彼女が目の前にあるものに熱中してがんばれるようになったのは、「自分はこの場所でちゃんと参加者として認められている」と感じられたからじゃないかな。


だからと言ってすぐに大きな変化があるわけではなく、「彼女は普段からも物事に積極的に、前向きに取り組めるようになりました」といった綺麗なストーリーとして語ることはできません。でも、そういう一瞬一瞬から変化は生まれるものだし、大事に積み重ねていきたいです。



――後藤さん自身は、教育を受けるなかで「取り残された」と感じた経験はありますか?


私自身は結構優等生タイプだったので、学校で苦しんだ経験はあまりなかったんです。でも、SALASUSUに入ってから、経営チームが話していることがよく理解できなかったり、カンボジアのみんなが話すクメール語が聞き取れなかったりして、疎外感を感じることはありました。昨日もちょうどクメール語の発音の授業を受けていたのですが、何について話しているか本当にわからなくて。「あぁ、授業から取り残されるってこんな気持ちなんだな」と痛感しました。「もうこの授業で私にできることはない」という感覚。だから、授業中に手持ち無沙汰でぽかんとしている生徒を見ると、痛みを感じます。


でも、わからないこと自体は悪いことじゃないし、手は動いていなくても、実はじっと周りの様子を見たり会話を聞いたりしながら、どうにか理解しよう、学ぼうともがいていたりします。SALASUSUの実験校は、生徒のそうした小さなサインや変化を見逃さず、ちゃんとフォローできる場でありたいな、と思っています。



――長年続けてきた工房を学校にすると決めたとき、迷いはありませんでしたか?


もともと、「作り手の女性たちにとって、工房で過ごす時間が将来の糧になるといいな」「作り手を支えるカンボジア人スタッフが誇りや喜びを持って働けるといいな」と思いながら日々仕事をしていました。それを続けていったら実験校に行き着いた、という感覚です。この場所がみんなにとってひたむきにがんばれる場所であってほしいし、ここで過ごす時間がそれぞれにとっていい時間であってほしい。それに尽きますね。


(インタビューここまで)


***


今回のクラウドファンディングも折り返し地点を過ぎました。もし、この記事や「誰も取り残さない教室」というコンセプトに共感してくださったなら、「プロジェクトページをSNSでシェアする」という形でも応援していただけると嬉しいです! どうぞよろしくお願いいたします。

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