【応援メッセージをいただきました！】𠮷竹めぐみさん（写真家）

2024/12/9 16:30

写真家の𠮷竹めぐみさんから応援メッセージをいただきました！𠮷竹さんは、1995年から17年間、シリア沙漠の遊牧民ベドウィンの同じ家族を撮影し、写真集「ARAB-Bedouin of Syrian Desert: Story of a Family」を発表。国内外で写真展を開催しています。また、パルシックがシリア難民への教育支援をしているレバノン アルサールの学校にも来てくださいました。

教室でのシリア難民の子どもたちの様子

応援メッセージ

 「レバント」をご存知でしょうか。東部地中海沿岸地方の歴史的な名称で、シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエル（およびパレスチナ自治区）の地域を指します。

レバノンの国旗に描かれているレバノン杉。レバノン杉が群生する森は「神の杉の森」と呼ばれ世界遺産に登録されている。標高約2000メートルのこの場所は冬には深い雪に覆われる

日本より遥かに深く豊かな歴史がある場所。

その美しい地がイスラエルの攻撃により破壊され、何よりそこに住む人々の心も身体も生活もズタズタに引き裂かれ、苦しみに深くえぐられてしまいました。

レバノン中央部のレバノン山脈にある「カディーシャ渓谷」

また、シリアから避難して来た方たちの苦しみも続いています。２０１１年３月、東日本大震災と時を同じくして始まった騒乱も１３年ですが、１２月８日にアサド政権が崩壊し、今最大の転機の時を迎えています。ただ社会の安定への道のりは、まだまだ長いと思います。

シリアは素晴らしい国です。豊かな文化があり、深い歴史があり、美しい自然があり、美味しい食べ物があり、安全と言われている日本よりも安全でした。何より人々の温かさ！ホスピタリティーに溢れ、相互扶助を実践し、家族との時間を大事にし、思いやり深く、人間世界遺産とさえ言える程の人たちです。

ですが幼い頃シリアから避難して来た子どもたち、騒乱後に生まれた子どもたちは、かつてのシリアを知りません。

以前、パルシックの学校支援の活動に同行させていただいた際、現地NGOのシリア人スタッフからの言葉がずっと胸に響いています。

「シリアの問題で恐れている事は、平和になった時におとずれる人々の融和。今は大きく政府側、反政府側、と分かれているが、これが一つになるとそれぞれのコミュニティーの中で分裂が起こる。これが一番恐れている。これを避けたい。

今までどこでどういう生活をしてきたのか、難民だったか他の国にいたのか、など不満からぶつかり合いが起こる。

大人はお互い周りの誰かが殺されていて、なかなか許すことが難しく時間がかかる。ただその中で子どもたちは、お互いがいがみ合っている、憎しみ合っている、と言う経験をまだしていない。

であればその子どもたちに、平和や人権について教える事が出来れば、その子どもたちがシリアに戻った際に、融和の中で一番のリーダーになる。唯一融和を可能にしてくれる。子どもたちへの教育、支援が融和への、平和への一番の近道。」

教育を受けられれば、その先自立した生活が出来る様になり、将来が開けます。厳冬の中、せめて子どもたちが暖かい場所で学ぶ事が出来ます様に。

シンプルな事です。もし目の間に人が倒れていたら「大丈夫ですか？」と声を掛けると思います。

同じ事をして下さい。腰をかがめて手を差し伸べて下さい。その手を取って下さい。

学校の壁に、子どもたちが描いたシリア。「さあ、シリアへ帰ろう！」