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アートと社会をつなぐ挑戦!ポートランドで学ぶソーシャル・アート実践

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Aiko

2025年4月30日

応援しています!

el_sur_grande

2025年4月29日

有意義な滞在になりますように!

FOR GOOD

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2025/6/30 15:00

【インタビュー③】制度の内側から問いを立てる――Lisa Jarrettの実践と思考

2025年6月4日、ポートランド州立大学MFA Art and Social Practiceプログラムのディレクターであり、KSMoCA(King School Museum of Contemporary Art)の共同創設者でもあるLisa JarrettさんにZoomでインタビューを行いました。

Lisa Jarrettさんは、アートと教育、社会との関係性の交差点に立ち、制度の内側で創造的に働きかける実践者として国際的に知られています。彼女の活動は、視覚芸術、公共空間での協働プロジェクト、学校や教育制度の中での学びの構造を問い直す実践、地域との関係性を軸とした長期的プロジェクトまで多岐にわたります。

とりわけ、ポートランド州立大学のMFA Art and Social Practiceプログラムにおいては、学生とともに「社会と関わるアートとは何か」を問い直す教育的実践を展開しており、またKSMoCAでは子どもたちとアーティストが学び合う場を制度の中に築くという、実験的かつ持続的な取り組みを行ってきました。

このインタビューでは、彼女のアート活動、教育、社会との関わりにおける多面的な役割について詳しくお話を伺いました。


🧩ソーシャル・プラクティスとは何か


Lisaさんは、大学での教育活動、特に大学院における指導を通して、人々との関係性を探求することの重要性に気づいたと語っています。教育は単なる伝達ではなく、他者と関わることそのものであり、彼女にとっての「ソーシャル・プラクティス」の出発点となりました。

Lisaさんは、「ソーシャル・プラクティス」という語には多様な意味が含まれることを理解しつつ、自身の感覚により近い言葉として「ソーシャル・エンゲージメント(social engagement)」を用いることが多いと述べました。


“I use the phrase \'social engagement\' more often because it resonates with what I’m truly thinking about.”
(私は \'ソーシャル・エンゲージメント\' という表現をよく使います。自分の考えていることにより近いと感じるからです。)


さらにLisaさんは、“a socially engaged practice”という表現を使いながら、それが「関係性に根ざした実践」であると定義しました。


“And to me, a socially engaged practice is a practice that is cued into relationships, you know, and that uses those relationships as part of the material of the work.”
(私にとって、ソーシャル・エンゲージド・プラクティスとは、関係性に注目し、それらの関係を作品の一部として活用する実践です。)


このとき大切なのは、作品のなかに人びとや関係性の存在が「可視的に」現れることだと強調します。


“You should be able to see the people, see the relationships.”
(人びとやその関係性が見えるようになっているべきです。)


また、Lisaさんは「プラクティス」という言葉を特に重要視しており、それを「製品(product)」ではなく、「生き方(a way of being)」として捉えています。アートを完結した成果物としてではなく、継続的な営みとして位置づけるこの視点は、彼女の実践全体に深く通底しています。


“That’s why I love the word ‘practice.’ It’s not a product—it’s a way of being.”
(だから私は \'プラクティス\' という言葉が好きなのです。それは製品ではなく、生き方だからです。)


さらに彼女は、ソーシャル・プラクティスを語る際に、視覚芸術に限定しない姿勢を示しつつも、「視覚的空間で人々が協働すること」が持つ重要性に言及しています。これは、視覚芸術というジャンルにこだわるのではなく、視覚的な空間そのものが、協働や関係構築の場となりうることに価値を見出している発言といえるでしょう。


“I won’t say visual art specifically because I do think a lot of people work collaboratively in visual space. I think that\'s really important to social practice as well.”
(私は視覚芸術に特定して言うつもりはありません。というのも、多くの人が“視覚的な空間”のなかで協働していて、それがソーシャル・プラクティスにとっても非常に重要なことだと思うからです。)



🧶Migration Studiesと黒髪をめぐる探究


Lisa Jarrettさんにとって、「髪」は単なる身体的素材や美の対象ではなく、文化的・社会的な意味を幾重にもまとった存在です。彼女の代表作《Migration Studies》(2008年〜)は、合成繊維(カネカロン)を紙に織り込み、縫い留めるといった手作業を通じて、髪という素材を用いながら「労働」「移動」「制度」「ケア」「記憶」といったテーマを交差させるシリーズです。


この作品には、彼女の家族の記憶が深く関わっています。母も叔母も美容師であり、Lisaさんは幼いころから美容室という空間に親しみながら育ちました。


“My mother was a beautician. My aunt was a beautician. She owned a salon.”
(私の母は美容師でした。叔母も美容師で、美容室を経営していました。)


黒人の美容室は単に髪を整える場所ではなく、Lisaさんにとっては「学び」の空間でもありました。そこでは“ブラックネス”という言葉を用いることなく、自分自身についての理解が自然と深められていったといいます。


“And it’s the one place where Black was always like just celebratory and where you learned about yourself, and you didn’t talk about it in terms of learning about Blackness, but where Black people get their hair done is usually a Black space.”
(そこは、ブラックであることが常に祝祭的に感じられ、自分自身について学ぶ場でした。“ブラックネスについて学ぶ”といった形では語られませんでしたが、黒人が髪を整える場所は、たいていブラックの空間なのです。)


Lisaさんにとってアートとは、教育では十分に学ぶことのできなかったブラック・ヒストリーを、自らの手でたぐり寄せ、関係性を再構築していくプロセスでもあります。髪という素材は、その象徴的な媒介として機能し、作品を通じて個人的な記憶と集団的な文化の接続点を提示しています。


🧑‍🏫教育観と学びの場づくり


Lisaさんは、教育とは「プロジェクトを育てること」ではなく、「アーティストを育てること」であると明言します。


“I’m not growing projects. I’m growing artists. And artists make projects.”
(私はプロジェクトを育てているのではなく、アーティストを育てているのです。そしてアーティストが、プロジェクトをつくるのです。)


Lisaさんは、教育の場をヒエラルキーではなく「共に共有する場」として捉えています。その場には高い期待と基準がありながらも、学生はそこに「ケアされている」という感覚を見出すことができると言います。


“We have very high standards, high expectations, and we expect a lot. And people feel that—like, I care for you, I expect a lot from you, because I know that’s what it takes.”
(私たちはとても高い基準と期待を持っていて、多くを求めます。でも人びとはそれを感じ取るのです──「私はあなたを大切に思っているからこそ、あなたに多くを求める。それが必要なことだと知っているから」と。)


Lisaさんは、学部生と大学院生の違いにも触れ、「学部生にはより構造的な指導が必要なこともある」と認めつつ、各学生の成長プロセスに寄り添う姿勢を貫いています。



🏛制度とともに生きる実践


Lisa Jarrettさんは、自身が大学という制度の中で教育実践を行うなかで、どのように制度と関わり、距離を取りながら創造的実践を続けているかについて語りました。彼女は、制度の内部にとどまりながら、その構造に「揺らぎ」や「ズレ」を生み出す余地を探り、現場で試行錯誤を重ねてきたと述べています。

特にKSMoCAのようなプロジェクトでは、学校という制度の枠内にありながらも、その構造に従わないユニークな実践が行われています。Lisaさんにとって、こうした制度の中での実験的な取り組みは、「制度そのものを素材として捉え直す」ことでもあります。

教育という制度的枠組みの中で、「上下関係のないフラットな学びの場」を目指す一方で、完全な対等性は幻想であるという認識も率直に共有してくれました。


“I\'m still giving them a grade at the end of the day because we\'re functioning in a system.”
(結局、私は彼らに成績をつけています。私たちは制度の中で機能しているからです。)


この言葉は、制度の現実に向き合いながらも、その内側で関係性の質を問い続けるLisaさんの実践姿勢をよく表しています。

教育者として、彼女は制度の枠にとどまりつつも、「人の成長」を核に据え、学生が自らの力でプロジェクトを生み出すことを何より大切にしています。成績評価など制度上の要請に応えながらも、Lisaさんは一人ひとりの学生と誠実に向き合い、そのプロセスを丁寧に支えているのです。

教育・芸術活動を持続可能にするためには、自分のリソースを正しく把握し、どこまで関わるかの選択が必要になるとも述べていました。すべての要望に応じるのではなく、自身の体調や精神的コンディション、時間の使い方を丁寧に見極めることも、制度の中で働き続けるために欠かせない要素です。

Lisaさんは、自分自身の「内向性」や「エネルギーの使い方」と向き合いながら制度の内側にとどまり、アーティスト/教育者としての実践を続けてきました。それは、制度を単に批判的に見るのではなく、「内側に居ながら問いを立て続ける」という姿勢に裏打ちされた行動でもあります。

Lisaさんの語りからは、制度の内側にいるからこそ見える課題や機会、そしてそこに介入することで可能になる新たな関係性のデザインが見えてきます。彼女の実践は、制度内で生きることと、そこに揺さぶりをかけ続けることの両立を、慎重かつ力強く体現しているように感じられました。


🔍 まとめ:問い続ける姿勢と制度との共生


Lisa Jarrettさんの言葉からは、アーティスト、教育者、そして制度の内部で実践を続ける一人の人間として、長い時間をかけて自らのスタンスを見極め、育んできた姿が浮かび上がります。

彼女の実践には、明確な共通軸があります。それは、「関係性を育てること」、そして「制度のなかに新しい余白を生み出すこと」。

「アーティストを育てる」という教育観、「関係性を可視化する」作品観、「制度を内側から揺さぶる」実践観は、すべてLisaさんの身体感覚や倫理に根ざし、互いに響き合いながらひとつの実践として結実しています。

制度を批判するのではなく、そこにとどまり、揺らぎをつくる。

ルールを守るだけでも、壊すだけでもないその在り方に、私たちは大きなヒントを得ることができます。

今、自分の立つ場所から、どんな関係性を育てていくのか。

制度とどう向き合い、そこにどんな問いを立てていけるのか。

Lisaさんの実践は、「生き方(a way of being)」としてのアートを通して、私たち一人ひとりに問いかけています。

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3,000

ちょこっと応援プランA

心を込めたお礼メッセージをお届けします!また、活動報告用のオープンチャットにご招待し、現地の最新情報をリアルタイムで共有します!

支援者34人

お届け予定2025-05-14

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8,000

リアルタイム体験プラン

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✨ 帰国後のリアル報告会へ優先的にご招待
✨ 現地からのリアルタイム報告&質問会(Zoom)にご招待

※報告会は7月(東京)を予定しております。

支援者8人

お届け予定2025-05-14

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リアル報告&体験プラン

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※報告会は7月(東京)を予定しております。

支援者7人

お届け予定2025-05-14

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20,000

Zoom個別相談プラン(60分)

アーティストとしての知見や経験を1対1で共有します!

助成金申請ノウハウや、持続可能なプロジェクト構築の方法など、あなたのニーズに合わせたアドバイスを提供します。

💡 アーティスト向けサポート
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- プロジェクト企画や運営に関するアドバイス 等

🏫 教育関係者(学校現場や地域教育との連携に関心のある方)向けサポート
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🏢 企業・法人様向けサポート
- コミュニティ連携を活かしたプロジェクト立案
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- 企業理念に合わせたワークショップ設計 等


🌟 個別相談のポイント
・相談テーマは自由!「ただ話がしてみたい!」という方も大歓迎です。
・資料提供もOK:必要に応じて、アドバイス資料を後日お送りします。

※「リアル報告&体験プラン」の特典が付きます。
※日程は7/1以降、個別調整のうえで決定します。

支援者1人

お届け予定2025-07-01

プロジェクトは終了しました

50,000

継続サポートプラン

伴走型のサポートで、プロジェクト成功を目指します!

✨ Zoom個別相談 2回(各60分)
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✨ 支援者の活動をウェブやSNSで紹介(希望者のみ)

🌟 提供するサポート
- 助成金申請やプロジェクト計画書のブラッシュアップ
- 子育てと創作の両立に関するアドバイス
- 地域社会や企業と連携したアートプロジェクトの実現方法 等

※教育関係者・企業・法人向けサポートも可能です。ご希望の場合は、「支援者への質問(任意)」へご記載ください。
※日程は7/1以降、個別調整のうえで決定します。
※「リアル報告&体験プラン」の特典が付きます。

支援者0人

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プロジェクトは終了しました

100,000

プロジェクトサポートプラン

プロジェクト計画から実現までを徹底サポート!

✨ Zoom個別相談 3回(各60分)
✨ プロジェクト計画書や助成金申請書の添削&ブラッシュアップ
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※教育関係者・企業・法人向けサポートも可能です。ご希望の場合は、「支援者への質問(任意)」へご記載ください。
※日程は7/1以降、個別調整のうえで決定します。
※「リアル報告&体験プラン」の特典が付きます。

支援者0人

お届け予定2025-07-01

プロジェクトは終了しました

200,000

「星の箱」特別体験プラン(最大10名)

アートと社会をつなぐ特別なワークショップ
「Nomadic Stars Project」(星の箱ワークショップ)を開催!

🌠 星の箱を制作し、地上に星空を描くプロジェクト体験
🌠 アーティストトーク&プロジェクト紹介
🌠 ワークショップ終了後、星の箱を持ち帰り

※最大10名
※開催場所に別途、往復交通費と宿泊費をご負担いただく場合がございます。
※日程は7/1以降、個別調整のうえで決定します。詳細はご相談ください。

支援者0人

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350,000

「星の箱」特別体験プラン(最大20名)

アートと社会をつなぐ特別なワークショップ
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🌠 星の箱を制作し、地上に星空を描くプロジェクト体験
🌠 アーティストトーク&プロジェクト紹介
🌠 ワークショップ終了後、星の箱を持ち帰り

※最大20名
※開催場所に別途、往復交通費と宿泊費をご負担いただく場合がございます。
※日程は7/1以降、個別調整のうえで決定します。詳細はご相談ください。

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10,000

しっかり応援プランB

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支援者12人

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がっつり応援プランC

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ドカンと応援プランD

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支援者1人

お届け予定2025-05-14

プロジェクトは終了しました

100,000

どーんと応援プランE

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支援者1人

お届け予定2025-05-14

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