逃げるを選べる社会
社会にもっと”逃げ”のグラデーションを。逃げの多様性を題材にした映画を広めたい




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2025/8/11 07:52
レビュー紹介② 太田旭【国際栄養士/社会活動家】

国際栄養士/社会活動家の太田旭さんより本作のレビューコメントをいただきました!
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エンドロールを眺めながら、私自身の“白葬”のことを思いだしていました。
あの日、白葬で棺の中に納まる時に、そっと胸に在り添えてくれた献花のような、
社会にそっとこもれびを注いでくれるような、優しい映画だな、と、思いました。
社会福祉専攻にて臨床心理学を勉強していた学生時代、「逃避」は回復に必要なプロセスの1つだと学びました。それは単に病気や怪我が治り元の状態に戻るということではなく、心身ともにという意味を内包していると理解しました。
それでも、わたしたちは社会のあらゆる場面で“向き合う”を求められすぎて、本来あって当たり前の“逃げる”は場所も機会も少なさ過ぎるのではないかと感じるほどです。
そんなアンバランスな社会の中で、映画の登場人物ひとりひとりがそっと“逃げ”を選択されていく。それはなんだか他人事でも違う世界の話でもない、引き込まれるように映画を鑑賞しました。
映画の世界のみならず、“逃げる”の機会や選択肢が増え定着した日本はきっと豊かかな。そんな風に、社会も私も少しだけ柔らかくなるような感覚になりました。日本の未来をほっこりしながら想像してしまう、そんな映画でした。ありがとうございました。
”
”白葬”とは本作中で主人公が体験する「あたらしくなるための生前葬」
これは映画の中のフィクションの設定ではなく、実際に逃げBarで執り行い続けてきたことでした。
その内容も、作中に出てくる流れとまったく同じで、セリフもほとんど同じものを使っています。
今回のレビューを書いていただいた太田旭さんも”白葬”を体験していただいた1人です。
式中のことはプライベートなことなので詳細まで語れませんが、式後に旭さんが書いてくださったご感想がこちら。
旭さんは国際栄養士として世界中で大活躍されながら、国内のお仕事やプロジェクトも並行できるほどのスペックをお持ちにもかかわらず、お話ししているとどこかご故郷の風土のようなものまで感じられるほどの素朴さや、大地に根付いた木々のような、海から吹く風のような、自然な心地がする佇まいでいらっしゃいます。
これほどバランス感覚の優れた方でも、いやもしかしたらそういう方だからこそ”白葬”を体験いただいたのかもしれません。
人の細胞はアポトーシスという自死機能が備わっており、その語源はギリシャ語で「枯葉が木から落ちる」を意味します。
葉が落ちれば、また次の葉が芽吹きます。
生きるためには死の力が必要で、死ぬためには生きる力が必要です。
”白葬”のような仮想的な「死」は、ひとつの栄養素として、生きる力として必要なのだと思います。
日々の食事を通して、睡眠を通して、細胞分裂を通して、小さな死は日常のいたるところにあるわけですが、白葬による「死」はもっと観念的で、意識的で、自分という本の1ページに空白のページを差し込むような体験です。
小説であれば、空白のページは章の変化を意味し、その次のページはまた新たな物語が始まることとなります。
白葬を体験される方々のご動機、ご事情は千差万別ですが、日々忙しく動き回られている方だからこそ、空白のページを意識的に差し込んであげる必要があるのだと思います。
人は死ぬ瞬間、あるいは脳死後に、神経活動が最後の足掻きを見せ活発になり、とある光景が脳内に浮かぶようです。
それを走馬灯と言ったりするのかも知れません。
その光景は、ご自身だけが見ることができる、最後の自主制作映画のようなもの。
だとすれば、ワンカット撮影だけが映画ではありません。
ご自身の美学の赴くままにチャプターを分け、途中で主人公が変わったり、設定が変わったりする演出もまた一興なわけで、1度きりの映画づくり、劇的に演出したいものです。
白葬による仮想的な死は、制作途中のプレビューを見る観察の時間になるかもしれません、カットを入れるカチンコのような役割を持つかもしれません、その体験がどうあなたの人生を演出するのか、それはきっと監督であり主演であるあなたが決めることです。
本クラウドファンディングでは、実際に白葬を体験いただくことができるリターンもご用意しておりますので、いま「死」という栄養素が、あるいは「時間」「カット」が必要な気がする方は、ぜひご所望ください。
太田 旭 国際栄養士/社会活動家
2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事。
2012年よりJICAの海外協力隊栄養士として中米グアテマラへの渡航を皮切りに、その後も現在まで国際栄養士として国内外で健康増進に関わるプログラムの開発や政策提言などを行う。
2018年より国内で子育て支援を行う団体“オルスタ”を立ち上げ、2019年に法人化。代表理事に就任し、日本を拠点にアフリカ・アジア・中南米での包括的共創事業、国内外のソーシャルビジネス、企業のサステナブルデザイン/海外進出支援などを行う。
一般社団法人オルスタ
書著「異文化に身を置く全ての人へ~国際栄養士のノート~」
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