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アートと社会をつなぐ挑戦!ポートランドで学ぶソーシャル・アート実践




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2025/5/23 15:00
【授業レポート④】言葉と実践を再構築する:「Student Time」とT+Tの取り組み

「Student Time」は、ポートランド州立大学MFA Art and Social Practiceプログラムで行われている授業の一つで、学生が自身のリサーチや実践を共有することを目的としています。
2025年春学期からは、「実際の体験を盛り込む」という課題が加わり、従来の口頭発表に加えて、現地での活動や参加型ワークが取り入れられるようになりました。これにより、より実践的かつ体験的な形式でプラクティスを展開することが求められています。
🧭 Student Time S2025 Guidelines:
・One way of getting there (currently in my work...);
・another way of getting there (not what you are doing but have been wondering about/different direction or approach (grounded in research, for example another project, experience, or practice that\'s been on your mind)-(5-10 min);
・present your revised and updated T+T (send to cohort before class), then using your T+T as a lens,
・create/share a mini on-site project/experience that teaches us what you mean. [Micro -> Macro] (20 min);
・Collective Dreaming: The What if? Game (15 min),
・Open conversation (10 min)
You can link all of this together and/or rearrange to meet the above goals. Look for the throughlines in what I am asking for. Be creative, be bold, make it your own, have fun!
- 現在取り組んでいる実践の方向性:今まさに自身が進めているプロジェクトやリサーチなどについて紹介します。
- 現在とは別の方向性や関心(5〜10分):今、実践していないものの、以前から興味を持っていたアイデアや、別のリサーチ、異なるアプローチについて共有します。たとえば他のプロジェクト、体験、調査などが対象になります。
- T+T(Terms and Topics)の更新と活用:あらかじめ更新したT+T(自らが定義し直した言葉や概念)をクラスメイトに共有し、そのT+Tを“レンズ(視点)”として活用しながら、自身のプロジェクトや体験を構成・共有します。
- using your T+T as a lens, create/share a mini on-site project/experience(T+Tをレンズ=視点として用いて、20分のミニ現場プロジェクトや体験を創出・共有)
- Collective Dreaming: The What if? Game(もし〜だったら?を用いた集団的な夢想)(15分) ※“What if...?(もし〜だったら?)”という形式で仮定の問いを投げかけ、想像力を広げながら未来の可能性を考える思考実験的なセッション。個人ではなく集団で取り組むことで、発想をより広く、豊かに展開させることを目的としています。KSMoCAの設立も、「もしすべての学校に図書館があるように美術館があったら?」というWhat if...?から始まったCollective Dreamingの一例です。デザイン思考にも似た性質を持ちますが、より自由な発想の共有に重点が置かれています。未来や別の可能性について想像力を働かせる思考実験的なゲーム。学生同士が創造的なビジョンを共有し合う場となります。
- 自由な対話(10分)
なお、これらのステップはリンクさせたり順番を変えたりすることが可能です。
このように、体験・思考・共有が多層的に組み込まれた実践構造になっており、学生たちが「自分自身の言葉」で表現することを大切にしています。
✏️ Terms and Topics(T+T)とは?
T+Tとは、「Terms and Topics」の略で、アートやソーシャルプラクティスに関する言葉を学生自身が再定義・再構築する取り組みです。
もともとはプログラム創設者のハレル・フレッチャー(Harrell Fletcher)が編纂した書籍『An Incomplete and Subjective List of Terms and Topics Related to Art and Social Practice』(2022年刊行)がベースとなっており、そこに掲載されている用語を再学習したり、学生自身のプラクティスから新たな言葉を考えたりします。
この「言葉をつくる・再定義する」というプロセスは、概念の探究や創造的思考を刺激し、実践の中で用語がどのように立ち現れ、変化していくかを見つめ直す試みでもあります。学び手が自らの言語をつくり直すことで、実践に対する理解や関わり方がより深く、多様に開かれていく――そのような可能性を感じさせる取り組みだと感じました。
今後も新しい実践や情報が得られた際には、引き続き共有していきたいと思います。
渡辺望
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